ステランティスジャパンはジープの7人乗りSUV「コマンダー」を日本に導入した。聞きなれないクルマをステランティスが日本に持ってきた背景には、話を聞いてみると納得できすぎる理由があった。
コマンダーの立ち位置は?
ジープのコマンダーは3列シートで最大7人が乗れるSUV。搭載するのは最高出力170ps、最大トルク350Nmの2.0L直列4気筒ターボディーゼルエンジン。意外にも、ジープのディーゼルエンジン搭載車が日本に来るのは今回が初めてとなる。
このクルマを日本に入れる理由とは? ステランティスジャパンの商品担当に聞いた話を以下でお伝えしたい。
ジープの商品ラインアップには、「グラディエーター」「ラングラー」「レネゲード」の本格オフローダー系と「グランドチェロキー」「チェロキー」「コンパス」の上質系の2系統がある。コマンダーの役割は、端的にいうと「チェロキー」の後任だ。
日本で約30年の販売実績があるチェロキーは有名なクルマだが、意外にも国債のジープ販売台数に占める割合は高くない。少しお金を足せばグランドチェロキーを選べるし、コンパスで十分という考え方もできることがチェロキーの販売が伸び悩む理由のひとつだった。ジープでは将来的に右ハンドルのチェロキーの生産を終了する予定。それもあって、日本向けチェロキーの生産は2021年末に終了していた。
チェロキーの抜けた穴にすっぽりとはまるのが新型コマンダーだ。ただ、チェロキーと同じようなクルマでは入れ替える意味が薄いので、コマンダーではミッドサイズの車体でありながら3列シートを備えているところと、日本初のディーゼルエンジンを搭載しているところでほかのジープ車との差別化を図る。
日本の自動車市場を見ると3列シートSUVの販売台数はそれほど多くないが、ミニバンを含む乗用車全体では3列シート車の存在感はなかなか大きく、販売台数全体の4分の1を占める。3列シート車のボリュームゾーンは全長4,700mm~4,800mmのクルマとのことだが、コマンダーは4,770mmなのでばっちりはまっている。
ステランティスジャパンでは8月30日にコマンダーの予告サイトをオープンしたそうだが、オープンから数週間で約2,000人から関心が寄せられたという。そのうちジープオーナーは約4割だったそうだ。半数程度が「発売になったらディーラーからのコンタクトを希望」する「ガチ勢」(冷やかしではなく)だったというから、けっこう売れるのかもしれない。