女優としてはもちろん、声の芝居も高い評価を得ている杉咲花。最新作となるアニメーション映画『ぼくらのよあけ』(10月21日公開)でも、宇宙とロボットが大好きな小学生・沢渡悠真に瑞々しく命を吹き込んだが常に試行錯誤だという。着実にキャリア重ねているように感じられる杉咲だが、「求められる人間であり続けたい」との思いを話してくれた。
『ぼくらのよあけ』は、講談社『月刊アフタヌーン』で連載されたSFジュブナイル漫画の劇場アニメ映画。本作で杉咲が声を担当するのは、団地に住む小学4年生の沢渡悠真。彗星が地球に接近する西暦2049年の夏に、人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコが未知の存在によりハッキングされたことで、壮大な極秘ミッションを行うことになるという役柄だ。
「悠真は、この先なにが起こるか分からなくても、自ら前に進んでいく勇敢でピュアな気持ちを持った人物で、とても魅力的だなと感じました」
女優として活躍する杉咲だが、これまで『思い出のマーニー』(2014年)、『メアリと魔女の花』(2017年)、『サイダーのように言葉が湧き上がる』(2021年)と劇場アニメで声優を務める機会も多い。いつも「試行錯誤だ」というが、本作では、いつも以上に声のトーンを落とした。
「監督からは『少し声のトーンを下げてもらいたいです』という演出をいただきました。私はどちらかというと声が高いほうで普段は使わないような音域だったので、トーンを意識しながら、気持ちの流れに素直になることの両立が難しかったです」
また共演の声優陣と掛け合いをしながら収録ができたことも杉咲にとっては大きかったという。
「(家庭用オートボットの)ナナコ役の悠木碧さんとは掛け合いのシーンが多かったのですが、ご一緒させていただけたことで悠真とナナコの心の距離がぐっと近づいていった感覚があって、台本を読んでいた時以上に豊かなところへ連れて行ってくださいました」
前述したように、過去大作での声優経験がある杉咲。表現力はもちろんだが、杉咲の持つ透明感のある声を称賛する声は多い。
「とてもうれしいです。昔は自分の声があまり好きではなくて、初めて自分が出演したドラマを見たとき『こんな声だったんだ』と衝撃を受けたのですが、褒めていただいたことでなんだか前よりは自信を持てるようになった気がしています」