子育て世代がもらえる児童手当。子ども1人につき、月額1万円~1万5,000円という金額は、もらってすぐに使ってしまえば実感は薄いかもしれません。しかし、中学卒業時まで貯めておくと総額は大きな額になり、進学資金などに役立てることができるはず。本記事では、児童手当を満額でもらえた場合はいくらになるか、生まれ月別表と合わせて解説します。2022年10月からの改正点も説明します。

  • 児童手当は総額いくらになる?

児童手当がもらえる条件は?

児童手当法が改正され、2022年10月からは児童手当が支給されなくなる人もいます。はじめに児童手当の支給条件について確認しておきましょう。

児童手当の対象となる子どもは中学校卒業まで(15歳の誕生日後の3月31日まで)の子です。児童手当はその対象となる子を養育している人に支給されます。ただ、児童手当の支給を受けるには大きく次の2つの条件があります。

1.市区町村の認定を受ける

子どもが生まれれば自動的に支給されるわけではなく、原則として出生日の翌日から15日以内に居住地のある市区町村に「認定請求書」を提出(申請)することが必要です。市区町村の認定を受ければ、原則として申請した月の翌月分から支給されます。

なお、出生日が月末に近い場合には、申請日が翌月になっても出生日の翌日から15日以内であれば、申請月分から支給されます。例えば次のような場合です。

【原則】9月3日に出生→9月18日までに申請→10月分から支給
【月末近くに出生】9月30日に出生→10月15日までに申請→10月分から支給

申請が遅れると、遅れた月分の手当を受けられなくなりますので注意してください。

2.養育者の所得

児童手当の支給には養育者の所得制限が定められています。この所得制限が2022年10月から改正され、次の2種の限度額が設けられます。

・所得制限限度額

養育者の所得が「所得制限限度額」以上、「所得上限限度額」未満の場合、子どもの年齢にかかわらず、子ども1人につき5,000円となります。「所得制限限度額」は扶養親族等の人数によって変わり、例えば、扶養親族等が1人の場合、660万円です。給与収入だけであれば、年収875万6,000円が目安です。

・所得上限限度額

養育者の所得が「所得上限限度額」以上の場合、児童手当は支給されません。「所得上限限度額」も扶養親族等の人数によって変わります。例えば、扶養親族等が1人の場合、896万円が所得上限限度額です。給与収入だけであれば、年収1,124万円が目安です。

児童手当の支給額は?

養育者の所得が「所得制限限度額」未満であれば、次のとおり、子どもの年齢および養育する子どもの人数に応じた児童手当額が支給されます。

児童手当の支給額(子ども1人あたりの月額)

  • 児童手当の支給額(子ども1人あたりの月額)

なお、児童手当では、3歳未満は誕生月までを含みます。

児童手当の支給月は毎年「6月・10月・2月」と決まっており、支給月の前月分まで(4カ月分)をまとめて支給されます。

6月支給分:2月~5月分の児童手当
10月支給分:6月~9月分の児童手当
2月支給分:10月~1月分の児童手当

とはいえ、出生後(申請後)に初めて支給されるときは申請月の翌月分からの支給となるため、生まれ月によっては4カ月分とはなりません。

所得制限なし、満額でもらえる場合の生まれ月別支給総額は?

生まれ月によって異なるのは最初の支給分だけではなく、中学校卒業までの総額も異なります。

上の支給額の表を見てもわかるように、3歳までは年齢で区切りますが、小学校入学からは学年で区切っています。小学校の6年間は生まれ月の影響はないものの、4月の入学時には生まれ月によって年齢(月齢)が違います。例えば、誕生日にもよりますが、4月生まれの子は小学校入学時点で6歳11カ月です(注)。対して3月生まれの子は6歳0カ月。このように、3月生まれと4月生まれでは11カ月分の差があります。

(注)4月1日生まれの子は同年3月生まれの子と同じです 。

つまり、6歳時点での児童手当は月額1万円ですから、6歳になってから小学校入学までの月数分に1万円を乗じた金額だけ総額にも影響することになるのです。

そこで、生まれ月ごとの総額を一覧表にまとめてみました。なお、総額の計算は、出生月の翌月から支給開始、所得制限なし、中学校卒業まで満額で支給されるものとします。

生まれ月別児童手当総額早見表

  • 生まれ月別児童手当総額早見表

児童手当を有効活用するには?

生まれ月によって受給総額が最大11万円違うのは、金額が少ない人にとっては残念なことかもしれません。しかし、子どものために200万円近くのお金をくれると思うと、子どもの将来のために有効活用したいものです。望む進路は人それぞれですが、中学受験、高校受験、大学進学……と、まとまった資金が必要になる時期が来ます。必要となる時期に合わせ、定期預金に預けたり、学資保険の保険料に充てたりするのもおすすめです。大切なのは、支給されればすぐに別口座に分け、使ってしまわないようにすることです。