暑中見舞いは故郷の両親やお世話になっている知人、古くからの友人など普段なかなか会えない方に贈る大切なあいさつです。ただ、いざ贈ろうとすると「いつ頃に贈るのがふさわしいのか」などの悩みが出てくることも多いでしょうか。
本記事では暑中見舞いの時期はいつからいつまでなのか、そして贈る際に使える例文にはどのようなものがあるのかを紹介します。暑中見舞いのマナーをしっかりと把握しておきたいという人はぜひ参考にしてみてください。
暑中見舞いの時期はいつからいつまで?
暑中見舞いを贈るうえで重要になってくるのは、贈る時期です。暑中見舞いにふさわしいタイミングをしっかりと理解しておきましょう。
暑中見舞いはいつから贈れる?
暑中見舞いは、二十四節気における小暑の時期から贈るのが一般的と考えられています。小暑とは太陽の黄経が105度に達した日で、7月7日あるいは8日が該当します。
暑中見舞いはいつまでに贈るべき?
暑中見舞いは、二十四節気における立秋の前日までに贈るのがマナーと言われています。立秋とは太陽の黄経が135度に達した日で、8月7日あるいは8日が該当します。その前日までということですから、
暑中見舞いは7月7日から8月6日までに贈るのがマナー
と覚えておきましょう。
8月6日を過ぎる場合は残暑見舞いに
「暑中見舞いを贈ろうと思っていたのにうっかり忘れていた」なんてこともあるでしょう。前述した通り暑中見舞いは8月6日までに贈るのがマナーですが、残暑見舞いであれば8月末頃までに到着すればOKです。もし相手先に届くのが8月6日を過ぎてしまいそうならば、残暑見舞いに変更するとよいでしょう。
暑中見舞いの書き方
暑中見舞いを書く際は、以下の構成を踏まえておくとよいでしょう。
- 暑中見舞いのあいさつ
- 時候のあいさつ
- 結びのあいさつ
- 日付
暑中見舞いのあいさつ
これは「暑中お見舞い申し上げます」などの文言を用いるのが一般的です。時候のあいさつの本文よりも大きく書くようにしましょう。
時候のあいさつ
時候のあいさつとは手紙やハガキの本文の書き出しの言葉です。二十四節気に基づいた季節を表す言葉であるため、毎月その内容は異なってきます。暑中見舞いを贈る際は、7月あるいは8月の時候のあいさつを用い、相手の健康を気遣うようにするとよいでしょう。
結びのあいさつ
主文である時候のあいさつの後に来るのが結びのあいさつです。手紙を締めくくるための言葉ですが、時候のあいさつ同様、結びのあいさつも季節性をもたせるとよいでしょう。
日付
「令和4年 7月15日」などの細かな日付を記す必要はありません。暑中見舞いならば「令和4年 盛夏」「令和4年 7月」といったような表現にしましょう。
暑中見舞いの例文
ここからは実際に使える暑中見舞いの例文を、贈る相手ごとにいくつか紹介します。
上司に贈る暑中見舞いの文例
連日厳しい暑さが続きますが、ご健勝のことと存じます。平素より何かとお世話になっておりますこと大変感謝しております。
おかげさまで●●にて家族と共にゆっくり過ごし心身ともにリフレッシュできております。
しっかりと英気を養えましたので、休み明けからより一層業務に励んでまいります。●●さんにおかれましても、くれぐれもご自愛くださいますよう、お祈り申し上げます。
取引先に贈る暑中見舞いの文例
平素は 格別のご高誼を賜り厚く御礼申し上げます。
誠に勝手ではございますが、弊社では下記の期間を本年度の夏季休業日とさせていただくことになりました。
2022年 8月12日~15日
休業期間中のお問い合わせにつきましては、8月16日から順次対応をさせていただく予定でございます。ご不便をおかけしますが、ご了承いただけますようお願い申し上げます。
恩師に贈る暑中見舞いの文例
毎日のように暑い日が続きますが、先生はお変わりありませんでしょうか。
私は入社して3カ月を終え、ようやく社会人生活にも慣れてきました。勉強すべきことはまだまだ多いですが、先輩や同僚にも恵まれ、忙しさの中にも充実感を覚える日々を送っています。
まだまだ暑い日々が続きますので、くれぐれもお体にはお気をつけください。
友人・知人に贈る暑中見舞いの文例
毎日暑い日が続いていますが、元気に過ごされていますか。
●●に越してきて、早くも半年が過ぎようとしています。はじめは東京との違いにとまどうことだらけでしたが、新たな友人も増えて充実した日々を過ごしています。近々そちらに行く予定があるので、久しぶりに飲みにでもいきましょう。
まだしばらくは厳しい暑さが続くと思いますので、●●さんも体調管理には充分気をつけてお過ごしください。
暑中見舞いとは
暑中見舞いとは、日ごろあまり会えなかったりお世話になったりしている方の健康を気遣い、「元気に過ごしてくださいね」という想いや願いを届ける夏のあいさつ状です。
暑中見舞いの習慣は、江戸時代に生まれたと考えられています。その由来となったのが、夏のお盆に里帰りする際に先祖の霊にお供えするための持参品。祖先にこれまでの感謝を示すための捧げ物がいつしか「夏のあいさつ」として定着し、お世話になった方たちへ品物を贈るスタイルへと形を変えていきました。その際、遠方で訪問できないような方たちには、飛脚便を使って贈り物や書状を届けていました。
明治時代に入り郵便制度が発達すると、この習慣はさらに簡素化されるようになり、現在のようなあいさつ状のみを送るスタイルが定着しました。ただ、暑中見舞いでも贈り物をするケースもあります。
暑中見舞いのマナー
相手の健康を気遣うために贈る暑中見舞いですが、贈る際のルールもあります。このルールを遵守しないと相手の気分を害してしまう恐れもあるため、しっかりと理解しておきましょう。
喪中時の暑中見舞いの可否
一般的に喪中の期間は新年のあいさつや結婚式などの慶事は避けた方がよいと考えられているため、喪中の方に対して年賀状を贈る行為は控えたほうがよいとされています。
では、暑中見舞いは贈っても大丈夫なのでしょうか? 結論から言うと、喪中の対象が自分であっても贈る相手であっても、贈ってしまって問題ありません。その理由として、暑中見舞いは季節のあいさつであり、年賀状のようなお祝いのあいさつとは趣の異なるものだからです。
暑中見舞いの返事
暑中見舞いをいただいた場合は、マナーとして必ず返信をするようにしましょう。暑中見舞いの返事をする際に注意すべきポイントが「贈る時期と返事に書く文言」です。
一般的に暑中見舞いは、7月7日から8月6日までに相手のもとに届くよう贈るあいさつ状です。8月7日以降にあいさつ状が届くのがずれ込むような場合、本来ならば「残暑見舞い」としなければなりません。
もしも8月に入ってから暑中見舞いをいただき、返事を贈る相手が遠方だった場合は、残暑見舞いを贈った方が無難かもしれません。暑中見舞いの返事を贈る際は、時期に注意を払うようにするとよいでしょう。
お中元との違い
暑中見舞いと混同しがちなものにお中元があります。この2つは似て非なる習慣ですので、この機にしっかりと違いを理解しておきましょう。
お中元とは
お中元は中国の三大宗教の一つである道教に由来し、中元は旧暦の7月15日を指します。この日は贖罪の日にあたり、自分たちの罪をつぐなうため、人々は祖先への供物を捧げていたようです。その風習が日本に伝わった後に仏教の風習と混ざったことで、今のお中元のようにギフトを贈りあうという習慣が生まれたとされています。
暑中見舞いとお中元の違い
暑中見舞いもお中元も、大切な人に何か贈るという点では共通しています。決定的に異なる点は贈るモノと贈る時期です。
【暑中見舞い】
暑中見舞いは相手の健康を気遣うあいさつ状を相手に贈ります。その時期も原則的に7月7日から8月6日までと決まっています。
【お中元】
お中元は「上半期の感謝の気持ちを伝える」という意味で、お世話になった人々にスイーツやお酒などのギフトを贈ります。そして、贈る時期は地域によって異なります。
地域 | 贈る時期 |
---|---|
北海道 | 7月中旬から8月15日 |
東北 | 7月初旬から7月15日 |
北陸 | 7月初旬から7月15日の地区と7月中旬から8月15日の地区とに分かれる |
関東 | 7月初旬から7月15日 |
東海 | 7月中旬から8月15日 |
関西 | 7月中旬から8月15日 |
中国 | 7月中旬から8月15日 |
四国 | 7月中旬から8月15日 |
九州 | 8月初旬から8月15日 |
沖縄 | 旧暦の7月15日まで |
「暑中見舞いとお中元をほぼ同じタイミングで贈ればいいかな」などと考えていると、お中元にふさわしくない時期にギフトが届いてしまう可能性もあります。気をつけるようにしましょう。
暑中見舞いは立秋の前日までに贈ろう!
暑中見舞いは、相手の健康を気遣う目的で贈る大切な夏の風物詩です。特に遠方にいて普段なかなか会えない方や、日ごろからお世話になっている方へ贈ると喜ばれるでしょう。
ただ、暑中見舞いにも書き方や贈る時期などのマナーがあり、そのルールを守らないと相手に対して失礼になってしまいます。暑中見舞いは立秋の前日までに贈るのがマナーとされているので注意してください。日ごろの感謝の気持ちがしっかりと伝わるよう、本記事を参考にしながら暑中見舞いを書いてみてはいかがでしょうか。