できるだけ楽をしてやせたい—。ダイエットを志す多くの人が持つ願いのはずですが、一般的には、ダイエットには「運動」が欠かせないとされます。でも、もし「運動なし」のダイエット法があったらどうでしょうか。
そんな夢のようなダイエット法を考案し、著書『もっと!神やせ7日間ダイエット』(KADOKAWA)がベストセラーとなった、女性専門パーソナルトレーナーの石本哲郎さんが、自身が提唱するダイエット法の概要を教えてくれました。
■1日3食を指定されたメニューにするだけ
わたしが提唱している「神やせ7日間ダイエット」は、その名のとおり7日間で確実にやせるというダイエット法です。しかも、運動する必要はありません。7日間の1日3食を、わたしが指定するものにするだけです。
詳しい内容に触れる前に、このダイエット法を考案した経緯をお話しましょう。わたしの職業は女性専門パーソナルトレーナーです。職業柄、SNS等でダイエット情報も発信していますが、その情報を知った人のなかにも、ダイエットに成功する人もいれば失敗する人もいます。
多くの失敗の要因のひとつに「勝手な解釈によるアレンジ」があります。「これを食べたらやせるのなら、これを食べてもやせるだろう」というふうに、勝手に解釈をしてアレンジをしてしまうのです。
パーソナルトレーナーとして指導している人にならその間違いを正すことができますが、ネット情報から勝手にアレンジしている人にはそうすることができません。そのため、ダイエットに失敗してしまう人がいるのです。
そこで、「あれこれ勝手にアレンジするのではなく、とにかくわたしが指定するものを食べるだけでいい」という食事メニューを考えて発信するのがいいだろうと、「神やせ7日間ダイエット」を考案しました。
■有酸素運動も筋トレもカロリー計算もなし
先にも「運動する必要はない」と述べましたが、それも含めてこのダイエット法には次のような特徴があります。
【「神やせ7日間ダイエット」の特徴】
1.運動なし
2.カロリー計算なし
3.1日3食を決まった時間帯に食べる
4.糖質をとってOK
ダイエットというと、まず運動をイメージする人も多いはずです。もちろん、「有酸素運動」や「筋トレ」はダイエットにとても有効です。しかし、いまでこそウォーキングやランニングなどの有酸素運動や筋トレもブームといわれ、かつてより実践している人も増えていますが、それでもそういう人はやはり少数派です。
日常的に運動をしてない人がほとんどという状況で、「運動をしましょう」といっても、多くの人はそうしてくれません。そうであるなら、運動をせずに食事管理だけでやせる方法を提案したほうが、多くの人にとってメリットになると考えたのです。
ふたつ目の特徴である「カロリー計算なし」というのも、同じ理由によるものです。実際にわたしが行うパーソナル指導ではしっかりとカロリー計算をして食事の指導をします。そのほうがダイエットは確実に成功します。でも、「自分でカロリー計算をしてください」といっても、やはり多くの人は面倒に感じてやめてしまいます。
そこで、いくら効果が高くなるとはいえ挫折する確率が大幅に上がってしまうくらいなら、こちらでカロリー計算や栄養バランスを考え抜いた食事メニューを提案したほうがいいだろうと考えました。
■体が求める最低限の栄養素はきちんと摂取する
「神やせ7日間ダイエット」の3つ目の特徴は、「1日3食を決まった時間帯に食べる」というもの。その狙いは、たんぱく質の摂取間隔を空け過ぎないことにあります。多くの人が知っていると思いますが、ダイエットをするにあたっては筋肉量を落とさないことが重要です。
筋肉が減るとそれだけ代謝量が減ってしまってやせにくい体質になるからです。そうしないためには、筋肉をつくる原料となるたんぱく質を1日3回の食事でしっかりとることが欠かせません。
加えて、「決まった時間」に食べるということも大きなポイントです。世の中のダイエット法のなかには「自分が食べたいタイミングで食事をする」というものもありますが、そういう方法はわたしからはすすめられません。
なぜなら、筋肉がたんぱく質を求めるように、体が栄養素を求めるタイミングというものがあるからです。朝起きたときに食欲がないという人もいるでしょう。でも、寝ているあいだに栄養素が入ってこなかったという状況である朝には、たとえお腹はすいていなくとも体は栄養素を求めているのです。
最後の特徴は、「糖質をとってもOK」というもの。これはむしろ、「糖質をとるべき」というのが正しいかもしれません。もちろん、糖質は削ったほうがやせやすくなります。しかし、たんぱく質や脂質も含めたすべての栄養素には、最低限の必要量というものがあります。
糖質は体のエネルギー源ですから、朝や昼など、その後の活動量が多いときにはしっかりとることが大切です。でも、夕食のあとは寝るだけ。そこで糖質を多くとってしまうと当然ながら太ってしまいますから、夕食の糖質は制限するという考えです。
■「神やせ7日間ダイエット」の基本食事メニュー
では、「神やせ7日間ダイエット」の食事メニューを紹介しましょう。「神やせ7日間ダイエット」には、ダイエット中でもストレスなく食事したい人や、忙しい毎日のなかでもチャレンジしやすいダイエットを求めている人に向けた「ゆっくり神やせプラン」と、「自炊で手間が少し増えても、体脂肪もむくみもしっかり落としたい!」という結果に貪欲な人に向けた「速攻神やせプラン」があります。
【ゆっくり神やせプラン】
◆朝食(6〜8時)
・もち麦入りごはん ※手に入らないときは、雑穀米や玄米でもOK。100~150gを目安に
・納豆 ※タレやからし、薬味なども使ってOK。苦手ならビフィズス菌多めのヨーグルトやキムチでも可
・卵2個の卵料理 ※バターや油は極力控える
・好きなフルーツ
◆昼食(11〜13時)
ごはん派
・コンビニおにぎり1個 ※脂質が多い具は避ける
・鶏肉のおかず ※もも肉焼き鳥串、つくね串、ささみフライ、サラダチキンからひとつ
・ヨーグルト ※個食タイプのものを1個
パン派
・サンドイッチ ※ブリトー、クロワッサンサンド、ロールパン系サンドイッチでもOK
・和菓子 ※どら焼き、大福、まんじゅうなら1個、串団子なら2本までを目安に
・濃縮タイプのヨーグルト ※200mlパックの無調整豆乳、プロテインでもOK
◆夕食(18〜20時)
・良質な脂質がとれる魚 ※サバ、イワシ、サンマ、鮭、サーモン、アジ、
中トロ、大トロ、ブリのなかから選ぶ。一夜干しや揚げ料理はNG
・豆腐半丁 ※150〜200gを目安に
・野菜 ※ブロッコリー、トマト、タマネギ、キャベツ、キュウリ、モヤシのなかから好きなものを好きなだけ
・調味料 ※「ゆっくり神やせプラン」では好きな調味料を使って大丈夫ですが、マヨネーズなど脂質が多いものは避け、量は極力少なめに
【速攻神やせプラン】
◆朝食(7〜8時)
・オートミール ※1食あたり40gを目安に
・プロテイン ※たんぱく質が20gとれる量を
・キウイorパイナップル ※キウイは1〜2個、パイナップルは100〜150gを目安に
・納豆 ※苦手ならビフィズス菌多めのヨーグルトやキムチでも可
・ブラックコーヒー ※カロリーゼロのエナジードリンクでもOK
◆昼食(12〜13時)
・コンビニおにぎり1個 ※梅、昆布、塩にぎり、もち麦or玄米入りから1個
・サラダチキン
・野菜ジュース ※野菜汁100%のものを。カロリーオフの表記があるものはNG
◆間食(15時)
・無調整豆乳 ※濃縮タイプのヨーグルト、200mlパックのプロテインでもOK
◆夕食(19〜20時)
・サバ水煮缶or鮭or「くるみ&アボカド&水煮のツナ缶や卵」 ※くるみとアボカドだけだとたんぱく質が足りないため、くるみとアボカドで良質な脂質を、水煮のツナ缶や卵でたんぱく質をとる。豆腐で7~10g前後とれているので、ここではきっちり20gとらなくても小さい水煮缶で足りる
・豆腐半丁
・ブロッコリースプラウトorパプリカ ※どちらも好きな量を食べてOK
■7日間の「合宿」に臨む気持ちで、やせる食事を学ぶ
どのメニューにどんな効果があるのかといったことが気になる人もいるかもしれません。もちろん、わたしの著書ではそういったことにも触れています。でも、それは著書の後半でのこと。それにも狙いがあって、最初にお伝えしたように、あれこれと考えてアレンジをしようとする前に、まずはわたしを信じてこの食事を続けてみてほしいのです。
とはいえ、なかには「本当に7日間でやせるの?」と思った人もいるでしょう。でも、この食事メニューを続ければ、高確率でやせることができます。もちろん、7日間が終わったあとに以前とまったく同じ食事メニューに戻ってしまえば、リバウンドしてしまうでしょう。
わたしは「神やせ7日間ダイエット」に臨む7日間は「合宿」のような気持ちでいてほしいと思っています。7日間、この食事メニューを続ければ、大半の方にいい変化が訪れます。そうすると、「やせる食事というのはこういうものなんだ」「やせるための1日の食事量やカロリーはこれくらいなんだ」ということを実感できるでしょう。
それこそ、それまでの日常とはちがう合宿のあいだの学びです。その学びがあれば、7日間の合宿を終えたあとに食事メニューを多少緩めたとしても、リバウンドしてしまうような食生活に戻ることはないはずです。
構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人