地域に住む人々を守ってくれるとされている氏神様(うじがみさま)。その氏神様へのお参りをする際、より効果的な方法や、神様に失礼のない作法を知りたいと思ったことはありませんか?

この記事では、氏神様へのお参りで効果を得るために何が大切なのか、氏神様の基本的な知識やお参りの作法についてまとめました。

  • 氏神様へのお参りの効果を上げるには?

    氏神様へのお参りの効果を上げるには?

氏神様にお参りする前に知っておきたいこと

氏神様にお参りする前に、氏神様の基本的な知識についてまとめました。氏神様の由来や神社の分類、調べ方などについて知っておきましょう。

氏神様とは

氏神様は「うじがみさま」と読みます。もともとは血縁関係のある氏族同士でまつる神様のことで、基本的にはその氏族にゆかりのある神様か、祖先の神様であるとされていました。同じ氏神様をおまつりする氏族のことを、その氏神様の「氏子(うじこ)」といい、氏子が住む地域を「氏子区域(うじこくいき)」といいます。

昔は多くの人が一生涯を同じ土地で過ごしていましたが、時代とともに人が他の土地へ移住することも増え、今では「同じ一族の神様」というよりは「その人が住む土地の神様」という意味合いが強くなっています。

子どもの頃からお世話になっていることも多い

「氏神神社」と聞いてもなじみがないと感じる人もいるかもしれませんが、意外と小さな頃からお世話になっていることが多いものです。例えばお宮参りや七五三といった子どもの頃に神社で行うイベントの多くは、氏神神社で行われている可能性が高いでしょう。特にお宮参りは、地域によってはお宮参りをすることで氏子の仲間入りとされることもあります。

氏神神社の調べ方

とはいえ、大人になってから氏神神社の存在を知っても、自分が小さい頃に行った神社のことは覚えていない、ということもあるでしょう。また引っ越しをした場合、新しい土地の氏神様のことも知っておきたいと思うかもしれません。

氏神神社について知りたいと思ったときに一番早いのは、両親や親族に聞いてみることです。新しく越してきた土地の氏神神社については、その土地に長く暮らしている人に聞いてみるのもいいでしょう。また、日本全国の神社を包括する神社本庁という組織がありますが、そのホームページには都道府県ごとの神社庁の連絡先が掲載されているので、そこから問い合わせてみることもできます。

その他、自分の足で歩いて探してみたり、地図を頼りに探してみたりするのも、新しい発見があって面白いかもしれませんね。ただし、自分の家の近くにあるからといって、その神社の氏子区域に属するとは限りません。地図上でめぼしい神社を見つけたら、直接神社に確認してみましょう。

神社の分類

氏神神社はその名のとおり、氏神様をおまつりしている神社です。氏神神社は前述のように血縁・地縁関係によって自動的に決まりますが、血縁・地縁に関係なく信仰する神社を崇敬神社(すうけいじんじゃ)といいます。例えば明治神宮や北野天満宮などの有名な神社には、遠方であっても初詣や合格祈願に訪れた経験を持つ人もいるでしょう。

ある氏神神社の氏子であっても、他の崇拝神社を持つことは問題ありません。また有名な神社に限らず、自分にとってお気に入りの神社でもいいとされています。崇敬神社の中には決まった氏子がいない神社もあり、その神社を信仰する崇敬者の集まりである崇敬会といった組織によって、神社の活動が支えられているというケースもあります。

なお、氏神神社と崇敬神社とは別格の扱いとして、伊勢神宮があります。伊勢神宮は、天皇の祖先である天照大御神(あまてらすおおみかみ)をまつっていて、日本の国土・国民全体を守る神社とされています。

  • 自分の氏神様を調べてみましょう

    自分の氏神様を調べてみましょう

氏神様にお参りする頻度や日にち

氏神様にお参りすべきタイミングには、「必ずこうしなければならない」という決まりはありません。毎日お参りしてもいいですし、忙しくてなかなか時間がとれなければ、一年に1度でもいいでしょう。ですがそれだと、かえっていつお参りしていいのかわからないかもしれませんね。お参りするタイミングとして代表的な例をご紹介しましょう。

初詣

氏神様にお参りするタイミングとして、一年の始まりにあいさつできる初詣はおすすめです。大人になると、地元の家族より親しい知人と有名な神社にお参りすることも多いでしょう。なるべくなら、その前に地元の氏神様にあいさつしてから行くのがいいとされています。

また初詣は一般的に、元日から三が日の間、あるいは松の内(関東は1月7日、関西は1月15日までとされる)の間に行くといいとされてはいますが、体調などと相談しながら、自分が行けるタイミングでお参りすれば問題ないでしょう。

お宮参り

お宮参りは、赤ちゃんが無事に生まれたことへの感謝を伝え、その後の健やかな成長をお祈りする行事です。もともとは、その土地で生まれた子どもを守ってくれる、産土(うぶすな)様をまつる産土神社にお参りするのがしきたりです。しかし現在では、その土地を守る神様として産土様と氏神様はほとんど同じ意味ととらえられているため、氏神神社にお参りすることが多くなりました。

前述のように、地域によっては氏神様へのお宮参りが氏子の仲間入りの儀式を兼ねていることもあります。なおお宮参りのタイミングは地域によって異なり、生後1カ月程度とするところが多い一方で、100日以内なら問題ないとするところもあるようです。あまりこだわりすぎずに、母子ともに体調が安定する時期に日程調整するといいでしょう。

七五三

七五三も、氏神様にお参りするのが基本とされています。七五三の由来には諸説ありますが、かつて「7歳までは神の子」として扱われていたことから、3歳、5歳、7歳の節目を迎えた年にお祝いするというしきたりが現在まで受け継がれたものです。

遠方の有名な神社に行ってお祝いしてもいいのですが、小さいお子さんが長時間慣れない着物やフォーマル着を着ることなどを考えると、やはり近くにある氏神神社でお参りする方が負担が少ないでしょう。

節分

もともと節分とは、それぞれの季節が分かれる日である「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前日のことを指すため、実は一年に4回あります。その中でも最初に来る立春が特に重要視され、邪気を祓う(はらう)ために豆まきなどをするようになったのが、現在よく知られている「節分」です。

季節の変わり目は邪気が入りやすいと考えられ、また立春の時期はまだ寒く体調を崩しやすいことから、節分は健康を願い邪気を祓う行事として受け継がれています。節分の日には豆まきをするだけでなく、氏神神社にお参りして邪気を祓うのもいいでしょう。

合格祈願

合格祈願は、学問の神様である菅原道真公を天神様としてまつっている、「~天満宮」「~天神社」という名前の神社にお参りする人が多いですね。一方でその地域の人々を守る氏神様は、ジャンルにこだわらずどのような願いでも聞き入れてくれるといわれています。努力して勉強した成果がしっかりと発揮できるよう、お参りしてみるといいでしょう。

無事に合格できたら、感謝の気持ちを込めてお礼のお参りもしたいですね。

お神札(おふだ)の取り換えのタイミング

氏神神社では、家の神棚におまつりするお神札も提供しています。一年の終わりには神棚をきれいに掃除して、新しいお神札をおまつりし新年を迎えるといいとされます。そこで、前の年にお受けしたお神札をお納めし、代わりに新しいお神札をお受けするタイミングで、あわせてお参りをするとスムーズでしょう。

  • お参りのタイミングは人それぞれで大丈夫です

    お参りのタイミングは人それぞれで大丈夫です

氏神様へのお参り効果を引き出すために

お参りの効果を発揮するために重要とされていることをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

正しいお参りの仕方を知る

氏神様に参拝するときの作法は、神社への一般的な参拝作法と同じです。まず手水舎(てみずや、ちょうずや)で手と口を洗うときは、利き手にかかわらず右手で柄杓(ひしゃく)を持って水をすくいます。そのまま左手をすすぎ、次に左手に持ち替えて右手をすすぎます。再び右手に持ち替えたら、左手に水をためて口をゆすぎます。最後は柄杓を立てて、残った水で持ち手を洗い流します。これを1杯の水で済ませるとスマートです。

参拝の作法は「二礼二拍手一礼」が基本です。「二拝二拍手一拝」ともいいます。拍手のことは「柏手」ともいい、神様を敬う気持ちの表れとともに、邪気を祓う意味があるとされています。

氏神様へお参りする際に、正しい作法でないとご利益がない、ということはありません。しかし長い間、作法として人々の間で伝わっている以上、そこには理由があります。正しい作法を身に付けておくと、より気持ちよくお参りできるでしょう。

日頃から感謝の気持ちを持つ

作法も覚えておきたいものですが、氏神様へのお参りに効果を求めるのであれば、他にも大切にしたいことがあります。それは、困ったときだけでなく、日頃から氏神様に対し感謝の気持ちを持つということです。

神様も人と同じように、感謝の気持ちには応えたいと思うかもしれません。

  • 日頃から感謝の気持ちを持ちましょう

    日頃から感謝の気持ちを持ちましょう

日頃の行いが氏神様へのお参り効果を発揮する

氏神様へのお参りの効果を高めるためにできることをお伝えしました。

氏神様へのお参り効果は、自分の氏神様を知ることや、正しい作法でお参りすることで高められる可能性があります。ただ一番大事なのは、日頃から感謝の気持ちを持ち続けることでしょう。そしてお参りをした際には、その感謝の気持ちを氏神様にしっかりとお伝えしましょう。