鉄道総合技術研究所は、降雨・地震等で盛土が被災した際の早期復旧法と耐震性を強化した強化復旧法を開発したと発表した。従来の工法と比べて、復旧に要する工期短縮や施工コスト削減を図るとともに、盛土の性能を向上できるという。
降雨・地震等で盛土が崩壊するなどの被害を受けた場合、従来は被災箇所を大型土のうで仮復旧することにより、徐行での運行再開を可能とし、仮土留めを施工した後、大型土のうを撤去して盛土を復旧する複雑な工事を行っていた。そのために工期が長くなり、工事費も要していたと説明する。
これに対し、新たに開発した早期復旧法では、大型土のうの代わりに金網を組み合わせたかご枠を設置し、その中に砕石を詰めることで、早期に復旧させることを可能としている。かご枠は平面の金網を現場で枠に組み立てるため、機動的な施工ができるという。
早期復旧法では、砕石を詰めたかご枠が盛土の安定性を向上させることで、従来の復旧法に対して7割程度、耐降雨性が向上することが解析により確認されている。従来の復旧法のように仮復旧での運行再開(徐行に限定)はできないが、全体の工期を3割削減、工事費を6割削減できるとしている。
また、新たな強化復旧法は、早期復旧法に鋼材やセメントなどで構成された円柱状の地山補強財を追加施工することで、早期復旧法より5割程度強い地震まで耐えられることが模型実験で確認されている。従来の復旧法に対して工事費も3割削減可能とのこと。
なお、2019年東日本台風(台風19号)で被災した三陸鉄道リアス線の盛土復旧工事において、この強化復旧法が採用されている。鉄道総研は今回発表した復旧法の開発に関して、岡三リビック、小岩金網、ライト工業との共同研究成果としている。