これまでは、多くの場合、薬を購入するためには薬局やドラッグストアに行く必要がありました。しかし、2021年の一般医薬品の販売に関する規制緩和により、薬の販売に参入するコンビニエンスストアの店舗が増えています。

そこで本記事では、コンビニで買える薬をご紹介します。また、セブン-イレブンやローソン、ファミリーマートの薬の販売事情や取扱店舗についても解説します。

  • 規制緩和によりコンビニで薬が販売しやすくなった

    コンビニで買える薬を紹介する記事です

規制緩和によりコンビニで薬が販売しやすくなった

今まで薬局やドラッグストアだけで取り扱われてきた薬が、コンビニでも販売されるようになりました。ここでは、コンビニで薬が買えるようになった理由をご紹介します。

2分の1ルールの廃止

医薬品などのルールを決めているのは厚生労働省です。従来は「一般医薬品(大衆薬またはOTC医薬品)を販売するためには、店舗の営業時間のうち半分以上の時間帯に薬剤師または登録販売者を配置する必要がある」というルールが定められていました。

このいわゆる「2分の1ルール」の不要論を唱えたのが、2020年に行政改革担当相だった河野太郎氏です。この不要論をきっかけに、2分の1ルールは2021年8月に廃止されました。

コンビニでも条件を満たせば薬の販売は可能だった

実は、2分の1ルールが存在していた2021年以前でもコンビニで薬の販売は可能でした。2009年に施行された改正薬事法(現:薬機法)では、一般医薬品(大衆薬またはOTC医薬品)を副作用のリスクの高さに応じて、第1類・第2類・第3類の3つに分類しています。

その中の第2類・第3類に関しては、薬剤師ではなくとも「登録販売者」という資格を持っていれば販売できるようになりました。そのため、2009年以降はコンビニでも薬剤師または登録販売者を在籍させるという条件を満たすことで薬の販売が可能になったのです。

2021年にコンビニが薬の販売に参入しやすくなった

2分の1ルールがあった頃は、24時間営業のコンビニで薬を販売することは困難でした。24時間のうち12時間以上は薬剤師や登録販売者を配置する必要があったからです。

しかし、2分の1ルールが廃止されたことで、コンビニで薬を販売するハードルが低くなり、参入しやすくなりました。ローソンでは。2023年度中に一般医薬品(大衆薬またはOTC医薬品)の取扱店舗を従来の2倍近い450店舗に増やすことを決めています。

参照:
厚生労働省/医薬品の販売制度

  • 規制緩和によりコンビニで薬が販売しやすくなった

    最近は、薬を販売しているコンビニの数も増えてきています

コンビニで買える薬

コンビニで買える薬にはどのような種類があるのか、気になっている人も多いでしょう。ここでは、医薬品の分類やコンビニで買える薬の種類について解説します。

医薬品の分類

医薬品は複数に分類されており、その分類によって処方できる人が異なります。

項目 医療用医薬品 要指導医薬品 一般医薬品
処方・販売できる人 医師 薬剤師 第1類医薬品 第2類医薬品 第3類医薬品
薬剤師 薬剤師または登録販売者
医薬品の説明 対面で説明 対面で説明 書面で説明 努力義務 規定なし

医療用医薬品

医師の診断が必要なため、病院を受診する必要がある医薬品。処方箋に基づき処方される。

要指導医薬品

医療用から一般用として販売されて間もない医薬品。副作用のリスクが不確定なため、薬剤師による適切な指導のもと処方される。店舗では顧客がすぐ手に取れる位置には置いていない。医療用医薬品と一般医薬品の中間に位置する。

一般医薬品

コンビニでも取り扱いがある医薬品。副作用のリスクの程度に応じ、第1類・第2類・第3類に分類される。第1類に関しては顧客がすぐ手に取れる位置には置いていない。第2類・第3類は店舗で気軽に購入できるケースが多い。

コンビニで買えるのは一般医薬品

コンビニで購入できるのは一般医薬品(大衆薬またはOTC医薬品)です。この一般医薬品について解説します。

第1類医薬品とは

第1類医薬品は、一般用医薬品の中で最も副作用が生じるリスクが高い医薬品です。「使用に関して注意が必要である」と厚生労働省が指定しています。

第1類医薬品に分類されている医薬品は以下のようなものが挙げられます。

  • ガスター10 (第一三共ヘルスケア)
  • ニコチネルパッチ20 (グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン)
  • リアップ (大正製薬)

第2類医薬品とは

第2類医薬品は、副作用によって日常生活に支障をきたす程度の健康被害が起こる可能性のある医薬品で、第1類医薬品以外に該当するものです。その中でも特別な注意が必要なものは指定第2類医薬品に分類されています。

第2類医薬品に分類されている医薬品は以下のようなものが挙げられます。

  • バファリンA (ライオン)
  • 新・ロート防風通聖散錠満量 (ロート製薬)
  • 新ジキナエースDX (富士薬品)

第3類医薬品とは

第1類医薬品と第2類医薬品以外に該当するものです。日常生活に支障をきたす恐れは少ないですが、身体の変調や不調が現れる可能性があります。第3類医薬品に分類されている医薬品は以下のようなものが挙げられます。

  • ハイチオールCプラス2 (エスエス製薬)
  • ザ・ガードコーワ整腸錠α3+ (興和)
  • サロンパス (久光製薬)

参照:
厚生労働省/一般用医薬品のリスク区分

  • コンビニで買える薬

    登録販売者が在籍しているコンビニは第2類・第3類を販売しています

薬を販売しているコンビニ店舗はどこ?

規制緩和により薬が販売しやすくなりましたが、すべてのコンビニで買えるわけではありません。第1類医薬品に分類される風邪薬は薬剤師による販売が必要なため、薬局を併設しているコンビニでの取り扱いが多いです。

第2類医薬品に分類されている風邪薬、第3類医薬品の整腸剤などは登録販売者がいるコンビニで取り扱いがあります。ここでは、ローソン、ファミリーマート、セブン-イレブンでの薬の販売事情をご紹介します。

※ビタミン剤やドリンク剤など医薬部外品に該当するものは、特に取り扱いに注意点がないので一般的なコンビニでも販売されています

ローソン

薬を取り扱っているところは2022年1月末時点で267店舗です。薬を扱っている店舗数は大手コンビニチェーンの中でも最も多くなっています。公式サイトの「店舗案内」ページでは、医薬品を取り扱っている店舗の検索が可能です。

参照:
ローソン公式サイト

ファミリーマート

薬を取り扱っているところは2022年1月時点で75店舗です。ドラッグストア一体型の店舗も存在します。また、公式サイトからも医薬品を取り扱っている店舗の検索が可能です。

参照:
ファミリーマート公式サイト

セブン‐イレブン

セブン-イレブンの場合、公式サイトからは医薬品を取り扱っている店舗検索が難しいです。直接問い合わせるのがいいでしょう。

参照:
セブン-イレブン公式サイト

  • 薬を販売しているコンビニはどこ?

    薬を取り扱っている店舗数はコンビニによって異なります。身近なコンビニに問い合わせるのもおすすめです

薬が買えるコンビニは増加中

2021年8月に「一般医薬品(大衆薬またはOTC医薬品)を販売するためには、店舗の営業時間のうち半分以上の時間帯に薬剤師または登録販売者を配置する必要がある」という2分の1ルールが廃止された影響で、医薬品を取り扱うコンビニが増えました。

しかし、「販売には薬剤師または登録販売者の存在が必要」という理由により薬を販売しているコンビニはまだ多くありません。調剤薬局が併設しており、薬剤師が店舗間を行き来できるようなコンビニは第1類医薬品を、登録販売者だけ在籍しているコンビニは第2類医薬品・第3類医薬品を販売しています

2022年3月時点で医薬品を販売している店舗が多いのがローソンです。ローソンやファミリーマートは公式サイトから薬の取扱店舗が検索できます。コンビニで薬を購入するなら、事前に店舗検索し、取り扱いしている薬の種類を店舗に確認してから訪問するのがおすすめです。