「及び」とは、「~と」という意味の言葉です。日常会話よりもビジネスシーンで用いられることの多い表現なので、正しい意味や使い方を確認しておきましょう。
本記事では、「及び」の詳しい意味や使い方と例文、「かつ」「並びに」「または」などの類語・対義語との違いを紹介します。「及び腰」の意味や英語表現もまとめました。
及びとは? 意味や読み方をわかりやすく解説
及びは、「~と」という意味の言葉です。「A及びB」は「AとBの両方」を表し、複数の事柄を並列で述べるときなどに使います。「A及びB」と「AとB」の意味は同じですが、ビジネスシーンではより丁寧な印象を受ける「及び」を用いるのが一般的です。
また、「及」という漢字には、「追いつく」や「届く」などの意味もあります。「被害が市街地にまで及び多くの人が避難しています」のように動詞としても使われています。
及びの使い方と例文
及びを使う際、句読点をつけるべきか迷う人も多いのではないでしょうか。
基本的には句読点を挟む必要はなく、下記例文のように書いても誤用にはなりません。
例:「マネージャー及びリーダー」
句読点をつける場合は、及びの前に置きます。
例:「マネージャー、及びリーダー」
3つ以上の言葉を並べる場合は、最後の言葉の前に及びを置きましょう。
例:「マネージャー、リーダー、及び担当者」
並べる言葉が3つ以上の場合も、最後の言葉の前に及びを置くのが一般的です。
「及び」と「かつ」の違いとは
「かつ」は、2つの事柄や行為が並行しているさまを表すときに使います。及びは名詞を並列して使いますが、かつは動詞や形容詞をつなぐときに使うのが特徴です。
例:「昨夜は大いに飲み、かつ騒いだ」
及びの類語
ここからは、及びの類語を紹介していきます。
並びに
「並びに」は、前後2つの事柄を並べて表記する際に使う言葉で、一般的には及びと同じ意味合いで使われます。一方、法令用語として使う場合は使い分ける必要があります。
例:「当店のメニューはオムライス、シチュー、パスタ、並びに、天丼、すき焼き、刺し身です」
日常会話で使う場合は、上記のように及びと同じ形で使えます。
法令用語として使う場合は、このように並びを単独で使用することは基本的にありません。及びと併用して使います。
並びにと及びを併用するときの例文は、下記の通りです。
例:「当店のメニューはオムライス、シチュー、及びパスタ、並びに、天丼、すき焼き、及び刺し身です」
このように、小さい接続の方に及びを使い、大きな接続には並びを使います。契約書の作成などで使う機会もあるので、覚えておきましょう。
及びの対義語
ここからは、及びの対義語を紹介します。
又は(または)
「又は(または)」は、2つ以上の事柄の中から1つ選ぶときに使う言葉です。
「マネージャー、又はリーダーが出社してください」
上記の場合は、マネージャーかリーダーのどちらか一方が出社すればよい、という意味になります。
あるいは(或いは)
「あるいは」も、又はと同じ様に複数の事柄のうちどれか1つを表す際に使う言葉です。
「会議は東京、あるいは大阪で開催されます」
上記は、東京か大阪のどちらかで会議が開催される、という意味になります。
及び腰とは
なお、「及び」を含んだ「及び腰」という言葉があります。及び腰とは、中腰で物を取ろうとするときの姿勢や、不安定な腰つきという意味の言葉です。
もともとは不安定な姿勢のことだけを指していましたが、不安定が転じて「自信がなさそうな様子」や「中途半端な態度」を表現するときなどにも使われるようになりました。
及びは英語で「and」
及びの英語表現は「~と」という意味がある接続詞(等位接続詞)「and」です。
- you and I .(あなたと私)
- Apples and oranges.(リンゴとオレンジ)
3つ以上の単語を並べる場合は、最後にだけandを付けます。
- Apples, oranges and lemons.(リンゴとオレンジとレモン)
基本的な用法ですが、忘れがちなので改めて確認しておきましょう。
「及び(および)」は、両方、並列を意味する言葉
今回は、及びの意味や使い方、類語などを詳しく解説しました。
及びは「~と」という意味の言葉なので、「A及びB」と「AとB」は同義であり、この場合AとBの両方を指します。しかし、ビジネスシーンでは丁寧な言い方の及びを使うのが一般的。使い方や例文をしっかり確認して、使いこなせるようにしておきましょう。
また、及びと混同しやすい類語や対義語もチェックしておけば、契約書や規定の作成など幅広いシーンで活用できるでしょう。