Samsung Electronicsを中心としたSamsungグループは8月24日、2021年から2023年までの3年間に240兆ウォン(約23兆円)の巨額投資を行う計画を発表した。

それによると、先端半導体を強化するほか新型コロナウィルスをはじめとするバイオ医薬品、急成長が期待される人工知能(AI)、6G通信、ロボットなどの事業の拡大に向けて投資を行うという。240兆ウォンのうち、韓国内向け投資が180兆ウォンで、今後3年間で4万人の直接雇用を新たに創出するほか、それにより56万人の間接雇用が創出されるとしている。

これだけの規模の投資および雇用計画は、同社にとっても過去最大規模としているが、その背景として、ポストコロナ時代における成長産業、国際秩序や社会構造の変化といったものに備えるためであるとしている。

この巨額投資の発表は、Samsungグループの事実上のトップである李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が8月13日に仮釈放された10日ほど後に行われたものとなる。韓国大統領府は仮釈放が行われた8月13日に「(新型コロナウィルスの感染拡大という)危機的状況の中にあって、仮釈放は国益のための選択」とのコメントを発表しているが、こうした汚職または脱税のために投獄されたビジネスリーダーが、自国復興という経済的理由で仮釈放されるというのは、李在鎔副会長の実父である故李健熙(イ・ゴンヒ)会長の五輪誘致のための恩赦と同様、韓国政府のいつもながらの措置であるといえる。李在鎔副会長は、仮釈放後、直接Samsung本社に向かい、この計画を主導したという。同氏は、韓国経済振興につながる投資を早急に最終決定して発表し、国民の期待に応える必要があったとの見方が韓国内では有力である。

なお、同社関係者によると、同社のファウンドリ部門は競合のTSMCに対抗するために、ゲートオールアラウンド(GAA)などの新技術を3nmプロセス以下の量産で採用することを計画しているが、その時期を繰り上げることで、競争力低下の懸念を払しょくし、存在感を高めることを目指しているという。また、今回の投資計画の中には170億ドル規模で進められている米国でのファウンドリ建設も含まれている模様である。