”酔いすぎない程度にワインを楽しみたい”という市場のニーズをとらえ、メルシャンではローアルコールワインを開発した。人気のボン・ルージュシリーズの新商品として、ブランド初のローアルコール「ボン・ルージュ 6%」を8月31日より発売する。都内では7月14日、メディア向けに説明会が開催された。
開発の背景
冒頭、メルシャン マーケティング部の長尾綾子氏が登壇して、開発の背景を説明した。
近年、健康意識の高まりを受けてローアルコール&ノンアルコール市場は拡大傾向にある。またワインに対する「気軽に飲めそう」「身体への負担が少なそう」「原料がブドウだけなのでナチュラル」といったポジティブなイメージが後押しをして、ローアルコールワインの注目度も上がっていた。メルシャンが実施した顧客調査では「アルコール度数が4~6%と低めで、なおかつ本格的な味わいのワインを楽しみたい」という声が多く寄せられたという。しかし市場に展開しているワインのほとんどはアルコール度数が10度台で、10度未満のワインは構成比にして0.3%しか存在していない(2020年の調査による)。
「ローアルコールのカテゴリには、これまでサングリア、シードル、フルーツワインなど甘い味わいのものが多く、本格的な味わいの商品がありませんでした」と長尾氏。ワイン市場の間口拡大を狙うメルシャンとしても、ローアルコールワインの新商品を開発することが急務となっていた。
「ボン・ルージュ」は「本当に美味しい赤ワインを提供したい」という想いから1996年に誕生。「渋味がありながらまろやかで濃厚」を特徴とし、その味わいを実現するために「ポリフェノール含有量の多さ」にこだわってきた。長尾氏は「発売から25年を経た『ボン・ルージュ』ですが、こだわり続けた美味しさと健やかさを、これからも自信を持ってお届けし続けていきます」と力を込める。
「ボン・ルージュ 6%」が狙うターゲット層は、ワインライト~ミドルユーザーの30・40代の女性。仕事にも育児にも全力で立ち向かっており、毎日が忙しいそんな女性に、平日の夜に少しでも気持ちをリフレッシュしてもらえたら――。そんなコンセプトをもとにして”本格デイリー ローアルコールワイン”に仕上げた。
どうやって開発した?試飲した感想は?
「ボン・ルージュ 6%」は、どのようにして「アルコール度数は低いけれど本格的な味わいがするワイン」を実現したのだろうか。キリンホールディングスの笹子志津代氏が説明した。
一般的なローアルコールワインの場合、ワインの使用量を減らして果汁などで味わい調整を行っている。これだと、たしかに軽やかで飲みやすくはなるが、本格的な味わいにはならない。そこで同社では、研究により新たな「ポリフェノール抽出技術」を開発した。アントシアニン(ブドウの果皮に多く含まれる)を多く抽出する製造方法で、渋味・苦味を抑えつつ、ポリフェノールの量を増やすことに成功。こうして生成された高ポリフェノール原料を使って、あとは長年培ったワインのブレンド技術で理想的な味わいに近づけていったという。試作を重ねること実に100回以上。辛抱強く時間をかけ、低アルコールで本格的な味わいを実現した。
会場では、実際に試飲する機会を得た。飲み比べのため、まずは一般的なワインをいただく。アルコール11~12%のワインは香りも高く、口にすれば味も濃厚。ワインを主役にして、時間をかけてじっくり楽しみたいときには最適だろう。それに対して「ボン・ルージュ 6%」は、飲み口が滑らか。サングリアとは違う、ワイン由来の上品な甘みがある。
香味も良く、チーズ、クラッカーなどとも相性が良さそうに思えた。ちなみにメルシャンでは、食べ合わせとして"うま味と甘さ"が感じられる白カビチーズやドライフルーツ、アーモンドチョコ、"酸味と少しの甘さ"が味わえる生春巻き、ラザニア、そして"しっかりしたコク&うま味"を持つエクレア、牛タンチップなどといった食材を薦めている。しかし度数6%とは言え、アルコールもしっかりと感じられ、満足度は非常に高かった。
コロナ禍のため飲食店でアルコールを注文できず、その結果として家飲み需要が高まっている昨今。消費者には「手軽さ・気軽さ」と「本格的な味わい」の両方の価値を求める傾向が出てきたという。「ボン・ルージュ」シリーズは、そんな世相にもマッチしているように感じた。なおメルシャンでは今夏、「ボン・ルージュ 6%」を切り口にした消費者参加型の「新商品オンライン体験会」を開催する予定だ。応募期間は7月12日~8月15日まで、当選者数は400名。開催形式はウェビナー(Zoom)で、参加者には新商品体験セットが送られる。詳細は同社HPで確認して欲しい。