米国の半導体製造競争力強化に同盟国と協力

米国のホワイトハウスは、米国のサプライチェーンを確保するために2月24日の大統領令14017に基づいて100日以内に調査を命じたサプライチェーン実態のレビューレポートを6月8日(米国時間)に公表。その中で、半導体のサプライチェーンに関する部分をホワイトハウスが以下のような要約の形で発表した。

半導体は、米国の国家安全保障、経済競争力、そして私たちの日常生活に不可欠である。これらの小さなチップは、エネルギー、ヘルスケア、農業、家電、製造、防衛、輸送など、経済のほぼすべてのセクターにとって不可欠である。半導体は、戦闘機やサイバーセキュリティ防衛と同様にの携帯電話や食器洗い機を動かすのに必須である。米国は、かつては半導体生産の世界的リーダーだったが、ここ数十年で製造を外部委託し、オフショア化(海外依存)しすぎている。米国は、20年前には世界の半導体生産量の37%を占めていたが、今はわずか12%に低下した。

また、もっとも高度な技術レベルでの生産能力も欠いている。最先端のロジックチップの場合、米国と米国の同盟国は主に台湾の半導体製造施設に依存している。そのようなチップの92%は台湾に依存しており、このレベルの依存は、重要であるはずの半導体サプライチェーンに新たな脆弱性をもたらしている。

米国は、現在の半導体不足によって深刻な影響を受けている。成熟したロジックチップの6〜9%しか国内で生産しておらず、こうした生産能力の低下は、半導体サプライチェーンのすべてのセグメントと長期的な経済競争力を脅かしている。

我々は、長期的に、回復力と競争力のある半導体サプライチェーンを構築する必要がある。その戦略として、米国の技術的優位性を保護するために防御的な行動を取ることも必要である一方、国内生産や研究開発にも積極的に投資する必要がある。私たちは、中小企業の成長を促し、給料の良い半導体の仕事の恩恵を受けることができる熟練労働者の供給体制を含むエコシステムを開発する必要がある。最後に、米国は半導体回復力を促進するために、パートナーや同盟国と相互協力しなければならない。

サプライチェーン強化を称賛するも輸出規制に懸念を示すSEMI

また、ホワイトハウスのこうした動きを受けて、SEMIも、このような半導体サプライチェーンを強化するためのバイデン政権の取り組みを称賛する声明を発表するとともに、一方では、米国政府の自由貿易を阻害する政策に反対する従来からの主張を再確認している。

SEMIでは、米国半導体製造装置の生産者が、米国と中国の間の貿易制限またはアジアでの予期しない需要の変化によって大きな影響を受けるリスクがあるという報告書の認識を称賛したうえで、「米国の一方的な貿易制限が米国の半導体装置メーカーに及ぼす重大で有害な影響を一貫して指摘しており、輸出管理政策がサプライチェーンの回復力と米国原産品の競争力を確実にサポートするために今後とも米国政府との対話を継続していく」と述べている。

さらは、高度なスキルを持つ外国人技術者のビザの数を増やし、雇用ベースのビザの国ごとの発行件数上限を撤廃し、熟練した技術系人材を雇用ビザの上限から免除するという今回のレポートの推奨事項に強く同意する、ともしており、特に学生が需要の高い半導体分野で大学の単位または業界で認められた資格を取得できるように、質の高い中高生のキャリアおよび技術教育プログラムにも投資して将来の労働力を国内で確保できるようにするように議会に呼びかけていくとしている。

なお、半導体製造装置業界にとって、中国は世界最大の市場(2020年、SEMI調べ)となっており、米国政府の中国制裁のための輸出制限が米国半導体製造装置業界の発展を阻害していることをSEMIは従来から指摘。米国商務省に何度も自由貿易を阻害する規制を止めるよう要請してきた。また、トランプ政権以降、外国人半導体技術者や学生(とりわけ中國人)が米国入国するための就労・学生ビザ発行や延長が厳しく制限されてしまったため、米国半導体業界や装置業界では、技術者不足に悩まされており、開発や製造に支障をきたすとSEMIは指摘している。