留学したい! 海外経験したい! けど行けない! そんな今こそ、“解禁の時”に向けて準備しておきたい。英語を学ぶ際の心構えから留学先の見つけ方、オンラインミーティングの作法まで、2人の若者がもやもやしたお悩みをYouTubeチャンネル「バイリンガール英会話」、「ちか友留学生活」でおなじみのバイリンガールちかさんに、オンラインでぶつけてみました。

  • YouTuber・"バイリンガールちか"のネイティブ英語はめざさない!

●お悩み相談者 /S.Kくん(写真左) 社会イノベーション学部 将来は英語を使う仕事をしたい。留学を希望しているが、「異なる文化の人々と触れて自分の価値観を広げたい」という漠然とした理由でいいのかが悩み。

K.Kさん(写真右) 国際文化学部 2018年10月から3か月間イギリスに留学経験あり。帰国後、英語力をキープするためにどう機会をつくっていけばいいのかが悩み。

●僕たち日本人っては10年以上英語を習っているのに、日常英会話も話せない人が多いのはどうしてでしょうか? (S,K)

英語を10年間以上学んでいるし、実際、単語はたくさん知っているんですよ。ただ話す勇気より恥ずかしさが勝ってしまう。それはアウトプットに慣れていない、単純に使っていないからだと思います。なんで使ってないかっていうと、使う機会がないからです。日本にいるとそもそも会話の機会がないし、別にしゃべれなくても困らない、というのが大きな原因かなとは感じます。

話すのが恥ずかしいと感じるもう1つの理由は、目指すところが最初から高すぎるからじゃないかな、と思っています。日本に長年住んでいる外国の方でも、何かしらアクセントがあったりしますよね。でも日本人の多くはいきなり「ネイティブ英語」を目指してしまって、それじゃないと発しちゃいけない、恥ずかしい、という完璧主義なところがすごく大きい気がします。

●大学の交換留学制度で海外留学を考えていますが、その目的がみつかりません。「自分の価値観を広げたいから」だと動機が弱すぎますか? (S.K)

その悩み、実は日本の学生さんには多いと思います。何をしたいかわからないから、自分探しも含めて海外に行きたいという思いを持っている方も多いですね。でも応募するとなると、ある程度「理由づけ」の工夫は必要ですね。

以前、「ちか友留学生活」のプロジェクトで「留学経験がない人が2週間メルボルンに語学留学できる」というコンテストをしたんです。そのときに応募で集まった200人以上のスピーチ動画ですごくいいなと思ったのが、「メルボルンに行ったらこれをします」という、具体的なアクションプランを挙げてくれた人。「しゃべらないと上達しないので、会った人たちに、必ずこの4つの質問をします」といった具体性のあるスピーチでした。

留学する意義は絶対にあります。海外に行って慣れない環境に身を置くことで必ず成長できます。大事なのは、具体的に何をするかです。たとえば、こういうコミュニティに参加してこういうことを学びたい、こういう分野に興味があるからもっとそれを深く掘り下げたいとか、具体的なアクションに落としていくことで、「あ、本当にちゃんと考えているんだな」というのが相手に伝わります。

●留学先の国や学校はどうやって選べばいいんでしょうか? (S.K)

「こういうことを勉強したい」という目的がある方は学校や教授ありきで、学びたい学部学科があるところを選びます。ただ、「何となくアメリカが好き」っていうことでアメリカを選ぶ方もいると思うんです。私は結構、感覚で決めちゃう派なので(笑)。なんとなく「あ、ここよさそう」みたいな直感で選ぶのもありだと思います。

  • 【Sorry to bother you.】知らない人に声を掛ける場合のスマートな言い方です /メモ必須! アメリカで道に迷ったら、こう言おう☆〔#627〕【横断の旅 09】より

今はネットに情報が山ほどあるので、何でも調べられます。「ちか友留学生活」は世界中の留学生の私生活をシェアできるプロジェクトで、何百本もの動画が集まっていますし、YouTubeで自分が興味のある国のコンテンツを検索することもできます。今の時代、そういうツールを生かさない手はありませんよね。

●留学から帰国してしばらくしたらTOEICの点数、特にリスニングがガクンと下がってしまいました(K.K)。

言葉って使わないとどんどん忘れちゃいますよね。私も帰国してから10年以上経ちますし、家ではおさるさん(ご主人)とは大体日本語だし、打ち合わせもほぼ日本語です。英語をしゃべるのは動画を作るときと娘のプリンと会話するときぐらいで、「あ、あれ、何て言うんだっけ」と単語を忘れることもあります。

実は英語と日本語では動かす舌の筋肉が違うんです。日本語はほとんど舌を動かしませんが、英語はすごく舌を使うので、使っていないと舌が追い付いていきません。だから、けっこう動画も撮り直したりしてます(笑)。

●英語力をキープするいい方法はありますか? 「英語が必要な時間」はどうやって作ったらいいでしょう? (K.K)

これが、なかなか難しいんです。「来月から留学に行く」とか「出張がある」とか、本当に絶対に必要な目的がない限り、必要もないのに自分をあえて辛い状況に追い込むって、自分に相当厳しいタイプじゃない限り難しいじゃないですか。だから、この際、英語を楽しむしかない! 好きな海外のタレントの動画を見て、将来の会話を妄想するとか(笑)。やっぱり最後は「楽しい」っていうところが大事になってくるんじゃないかなと思います。

●よく、英語を学ぶ際に「日本文化のことも知っておくことが大切」といわれるのはどうしてですか? (K.K)

海外にも日本に興味がある人はたくさんいます。いろんな国に行くと必ず、「あ、日本なの? 」みたいな、ビビッドな反応をしてくれる日本好きな人とよくお会いします。彼らがせっかく日本のことを知りたいという時に、日本のアニメや文化を知っているのにこしたことはないと思います。

●なかなか会話が続かないのも悩みの1つです(S.K)。

英語が話せることとコミュニケーション力はイコールではありません。何か聞かれて答えられなかったときでも、どうやって相手を楽しませるかみたいなことがすごく大事だと思います。 たとえば、最近学生の皆さんに「おもてなし英語」についてのレクチャーをしたんですが、みんなすごく英語を話せるんですよ。でも日本の文化について聞かれたときに英語で説明ができないんですね。そもそも知らないから説明できないということもありますが、「知らない」で終わっちゃうコミュニケーション力にも課題があります。

海外の人たちはユーモアがあったり、もうちょっと話をつなげていったりというコミュニケーション能力が高い方が多い気がします。知識を備えておくことも大事ですが、知らなくて答えられないときに「ゴメン、わかんない」で終わらせず、「私も知らない。ちょっと一緒に調べてみようよ」というような臨機応変さもすごく大事だと思います。