会社での給料以外に収入のない会社員の場合、住宅ローン控除(減税)を初めて利用する年は確定申告を行う必要がありますが、2年目以降は勤務先での年末調整での手続きのみで引き続き住宅ローン控除を受けることが可能です。今回は年末調整でローン控除をするための手続き方法(必要な書類や申告書の記載のしかた等)について説明をしていきます。
住宅ローン控除(減税)の適用条件と手続き方法
住宅ローン控除(減税)の適用条件
住宅ローン控除(減税)の適用条件を抜粋すると以下となります(※1)。
- 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
- 新築または住宅取得後6カ月以内に入居し、控除適用を受ける年の12月31日まで居住し、住民票を移していること
- 登記上の住宅の床面積が50平方メートル以上あり、自己の居住用部分の床面積が建物の2分の1以上であること
- 住宅ローンは返済期間が10年以上、かつ金融機関等からの借り入れで分割して返済するものであること
- 生計を一にしている親族等からの購入や贈与でないこと
- 住宅ローン控除を受けようとする物件が中古住宅の場合は築年数等の追加条件あり
(例 : 木造の場合は20年以下、耐火建築物の場合は25年以下等)
住宅ローン控除(減税)の手続き方法
住宅ローン控除を受けるためにはいつもは年末調整を行っている会社員などでも入居した翌年に確定申告しなければなりません。また確定申告をできる時期が、給与所得者の場合と毎年確定申告を行っている人の場合とで異なるため注意しましょう。
会社員などの給与所得者の場合
確定申告をできる時期 : 入居した年の翌年1月4日から3月15日まで自営業者など確定申告を毎年行っている人の場合
確定申告をできる時期 : 入居した年の翌年2月16日~3月15日(一般の申告と合わせて行います。ただし、還付請求の場合は1月から可能)(※2)
確定申告は住所地の税務署に提出しますが、郵送またはe-Taxでの手続きも可能です。
ただ、所得が給与所得のみである会社員の場合、1年目に確定申告をすることにより2年目以降は勤務先での年末調整時に控除を利用する手続きができます。 手続きに必要な書類は次の2つです。
- 1.給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
最初の住宅ローンの契約をして控除の申請をした年に、税務署から控除期間分がまとめて送付されます。
- 2.住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
住宅ローンの借入残高を証明する書類で、毎年10~11月ごろに借り入れをしている金融機関から送付されます。
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」や「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」は、なくさないように保管する必要があります。万一紛失した場合は、いずれも再発行が可能なので早めに発行先に連絡をして手続きを取りましょう。
年末調整で住宅ローン控除(減税)を受ける際の書き方
必要な書類を揃えたら、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に必要な事項を記入していきます。
引用 : 国税庁「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の記載例」
以下は記入する主な項目です。
給料支払者の名称 :
会社の正式名称を記入給料支払者の住所 :
源泉徴収票等に記載してある会社の住所を記入税務署 :
会社住所の所轄税務署を記入する(分からない場合は空白でも可)氏名 :
氏名の上にはふりがなを振り、押印(三文判で可)する。世帯主名と、続柄も記入住所 :
住民票と同じ住所を記入新築又は購入に係る借入金等の年末残高 :
「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」から転記取得対価の額と居住用部分の割合 :
申告書の下についている「住宅借入金等特別控除証明書」を転記して計算住宅ローン控除の金額 :
控除金額は記入欄⑤8[居住用部分の家屋又は土地等に係る借入金等の年末残高]+⑩[居住用部分の増改築等に係る借入金等の年末残高] (40万円超の場合は40万円)×0.01
また、年間所得の見積額の欄は、年収ではなく総所得の概算を記入
年末調整で住宅ローン控除(減税)の申請を忘れたとき
年末調整での住宅ローン控除の申請を忘れたり、借り換え等の理由で「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の再発行が年末調整に間に合わなかったりした場合は、5年以内であれば確定申告を行うことにより住宅ローン控除を引き続き受けることができます(※3)。
10月以降に繰り上げ返済やローンの借り換えを行った場合、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、再発行の必要はなく従前の申告書が使えます。しかし「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」は再発行が必要です。
その理由は、借入金の残高が「毎年9月末日を基準として、以降に繰り上げ返済・延滞がない前提での年末の借入残高」で計算されており、繰り上げ返済や借り換えを行うと、その後の借入金残高が変更になるためです。
手続きを把握し、住宅ローン控除の制度を活用しましょう
年末調整で住宅ローン控除を受ける際は、まず必要な書類の保管をしっかりと行い、紛失しないようにすることが大切です。
また、申告書の書き方についての詳細は国税庁のHP等で具体的な記入例が載っているので、参考にするとよいでしょう。
参照 :
(※1)国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
(※2)国税庁「【確定申告・還付申告】」
(※3)国税庁「No.2030 還付申告」