2020年12月9日~11日にかけて東京ビッグサイトにて開催されたナノテクノロジーに関する国際総合展示会「nano tech 2021 第20回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」にて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は有機ケイ素部材(シリコーンなど)の高機能化と低コスト化を可能にする触媒技術とプロセス技術の研究・開発を目的とした「有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発プロジェクト」の紹介を行っていた。

電子材料分野や塗料分野などで幅広く使用されている合成樹脂「シリコーン」などの有機ケイ素部材は、従来、ケイ石、シリカなどの原料(SiO2)を還元し、金属ケイ素を作り、金属ケイ素を酸化させ、白金(Pt)触媒法を活用して製造するのが一般的であった。しかし、金属ケイ素を生成する還元の工程は、膨大な電力を必要とするため、電力コストも高いものとなり、そうしてできた有機ケイ素部材も高価となってしまっており、低コスト化を図るために低消費電力化が求められていた。

そこでNEDOではそうしたニーズに応えるべく、金属ケイ素を経由せず、ケイ石や安価なシリカなどの原料から直接、有機ケイ素部材を製造する技術の実現に向けた研究・開発を進めている。

  • 有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発プロジェクト

    NEDOが進める「有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発プロジェクト」の説明図。下部の従来技術プロセスなしに有機ケイ素部材の製造が可能となる技術の開発を進めている

同プロジェクトは2014年から開始され、2014年5月20日には産業技術総合研究所(産総研)が、砂の主成分であるシリカからアルコールと有機脱水剤、二酸化炭素、少量の触媒を用いてテトラアルコキシシランを生成する技術を発表している。

その後、2016年10月には産総研とコルコートが、より短時間で高効率にテトラアルコキシシランを合成する技術として初期に用いられていた有機脱水剤の代わりに、無機脱水剤のモレキュラーシーブを用い、反応によって発生する水を吸着除去することで、反応の効率を向上させるとともに、砂や灰など、適用できるケイ素源の範囲を拡大できるとした発表を行っている。

また、有機ケイ素材料の製造に欠かせない合成触媒の研究も進めており、2020年12月14日にはNEDOと関西大学が白金触媒の代替として利用できる鉄錯体触媒を開発することに成功したことを発表している。

なおNEDOは、今後もさらに高機能かつ安価な有機ケイ素材料の提供を目指し、研究開発成果を一般に共有し、実用化への移行を促進していきたいとしている。