日本電気硝子は、スピーカーの振動板用の超薄板ガラスを開発し、「Sonarion」(ソナリオン)と名付けてブランド化。スピーカーユニットを展開するFeastrexブランドをはじめ、複数の音響ブランドで採用が進み、オーディオ分野での活用事例が広がっていることを4月21日に発表した。

  • Sonarionを用いた振動板

    Sonarionを用いた振動板

  • Sonarion振動板を用いたスピーカーユニット

    Sonarion振動板を用いたスピーカーユニット

Sonarionの特徴

  • 日本電気硝子が開発した、スピーカー振動板用の超薄板ガラス
  • 世界最薄クラスの厚みで、振動板に求められる極限の薄さと軽さを追求
  • 軽さと強さを兼ね備えた独自のガラス組成設計
  • Sonarionという名称は、音を意味する単語と冬の星座オリオンを組み合わせた造語
  • スピーカーブランドFeastrexに採用されるなど、オーディオ分野での活用事例拡大

“極限の薄さと軽さ”を追求したガラス振動板

Sonarionは、音響デバイスの心臓部である振動板のために専用開発した超薄板ガラス。超薄板ガラスの精密3D加工技術を持つ台湾・GAIT(Glass Acoustic Innovations)と日本電気硝子が共同開発したもので、立体成形と特殊な化学強化処理を施すことで、音響素材としての理想的な特性を追求した。

具体的には、振動板に求められる“極限の薄さと軽さ”を追求し、世界最薄クラスという25µm(0.025mm)~200µm(0.2mm)の厚みを実現。さらに独自のガラス組成設計により、「軽量ながら激しい振幅や音圧にも耐えうる高い強度を兼ね備える」としている。

振動の内部損失が大きく、素材の固有音が少ないといった素材の特性から、音質面については紙や金属といった従来の素材と比べて「音の立ち上がりや立ち下がりが速い」、「音が鮮明かつクリアに届き、歪みが少ない」といった特徴があるとアピール。

軽くて振動しやすいため、繊細な音のニュアンスを正確に表現できるほか、ガラス表面を特殊な化学処理で強化したことで、重低音の激しい振動にも耐えられるという。温度や湿度などの環境変化に強く、経年劣化しにくいといった特徴も併せ持つ。

なお、“音の立ち上がり”とは、音が鳴り始めてからピークに達するまでの時間や反応の速さを指し、これが速いと“音の輪郭”がはっきりし、打楽器や弦楽器のアタック音が鮮明に再現される。

一方で“音の立ち下がり”とは、音が鳴り終わったあとにどれだけ速やかに音が消えるかを表し、これが速いと「音が不要に残らず、次の音がクリアに聴こえる」ことから、全体として歪みの少ない、引き締まった音になる。

Sonarionというブランド名は、音を意味する「Sonar」と、冬の夜空でひときわ輝く「Orion」(オリオン座)を組み合わせた造語で、同社では「このガラスが生み出す透明感のある澄んだ音色を、静寂の中に響く星の輝きになぞらえた。クリアで奥行きのあるサウンドスケープを象徴した」と説明している。

同社はハイエンド音響市場でSonarionの認知度を高め、「独自のガラス技術による新たな音響体験の提供と、さらなる採用拡大をめざす」としている。

Feastrexブランドが Sonarion振動板を採用

日本電気硝子は4月21日、Sonarionを用いたスピーカー振動板が、フルレンジスピーカーユニットブランド「Feastrex」(フィーストレックス)に採用されたことを発表。全製品が完全受注生産で、手作業による組み立てと、試聴による調整を行っているという。

Feastrexは、音楽の感動を忠実に再現するために生まれた、日本のハイエンドスピーカーユニットブランドで、「スペック競争を追うのではなく、作曲者の意図や演奏者の情念、さらには会場の空気感まで再現することを重視する」としている。

技術面では、低磁気歪みを追求した励磁式の球形磁気回路や、剛性を高めたコーン、ワイヤーサスペンションを採用。「にごりがちな低域や荒れやすい中高域を、ていねいで自然な音色として再現する」ことをめざし、「まるでその場にいるかのような高い没入感を楽しめる」とする。

日本電気硝子は、Sonarionを用いたスピーカー振動板が複数の音響ブランドで採用されるなど、オーディオ分野での活用事例が広がっていることをアピールしている。