新型コロナウイルスの流行によって在宅時間が増え、運動不足や生活習慣の乱れに悩まされている人も多いのではないでしょうか。そうしたストレスによる抜け毛、いわゆる「コロナ抜け毛」が昨今増えてきているそうです。

今回は、女性の薄毛治療を専門とする「Dクリニック東京ウィメンズ」の浜中聡子先生に、秋の抜け毛対策について教えてもらいました!

  • これからの季節気をつけたい「コロナ抜け毛」、症状や対策は?※画像はイメージ

「コロナ抜け毛」に悩んでいるのはどんな人?

もともと毛の生え変わる季節である秋は、抜け毛の相談が増えるシーズン。しかし今年の相談内容からは、新型コロナウイルスの影響がうかがい知れると、浜中先生は話します。

「もともと当院で薄毛治療をしていて、コロナにかかった方から、『以前より抜け毛が増えた』と相談があったり、『自粛期間のストレスから抜け毛が増え、鏡を見たときに髪の毛が薄くなっていると感じた』と来院する方がいらっしゃったりしました」(浜中先生)。

特に目立つのは、20~30代からの問い合わせ。「コロナによるストレスで髪の毛が束で抜ける」「髪の分け目が目立ってきた」といった切実な悩みが寄せられているのだとか。

実際に浜中先生のクリニックでは、今年7月と比較して8月は142%、9月は168%というペースで相談件数が増えているそうです。

  • 浜中聡子先生/医学博士。北里大学医学部卒業。Dクリニック東京 ウィメンズ院長。米国抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医などの資格を多数取得。アンチエイジングと精神神経学の専門家で、常に丁寧な診察で患者に接する|

コロナ抜け毛の原因は3つ

抜け毛の原因はさまざまですが、特に「新型コロナウイルスの影響によって引き起こされた抜け毛/コロナ抜け毛」の主な原因として、浜中先生は以下の3つを挙げました。

(1)運動不足による血行不良
運動不足になると血流が低下してしまい、心臓から離れた場所にある頭部は特に影響を受けやすい。血流が悪くなると、髪の根元にある毛母細胞に栄養が届きにくくなり、髪が十分に成長できず伸びる途中で抜けてしまうこともあり、血流が届きにくい頭頂部の方から、だんだんと薄毛が目立ってくる。

(2)自粛によるストレス
1人の時間が取れない、外出できないなど、制限される日常に大きなストレスを抱く人も多い。ストレスが溜まるとホルモンバランスや自律神経が乱れ、薄毛や抜け毛を助長してしまうことも。

(3)シャワー回数の減少
自宅にいるからと、シャワーの回数を減らす人もいますが、髪や頭皮は気づかないうちに皮脂やホコリで汚れていて、毛穴が詰まると発毛の妨げになってしまう。また、頭を洗わないことで、頭皮が刺激されず、血流が悪くなってしまう可能性もある。

「外出自粛によって生活にメリハリがなくなり、夜型になるなど生活習慣が乱れたことで、抜け毛が進んでいる可能性があります。さらに、その背景には運動不足やストレスの影響もあると考えられます。ストレスの原因はさまざまで、中にはパートナーと過ごす時間が増えたことに強いストレスを感じている人もいるようです」(浜中先生)。

新型コロナウイルスの後遺症としての抜け毛の存在については、「詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、一般的に病気にかかると免疫力が低下したり炎症反応が起こったりして、髪の毛に栄養が届きにくくなり、抜け毛につながります。その他、病気になったストレスやショックで抜け毛が進行する可能性も考えられます」と指摘していました。

「コロナ抜け毛かな?」「抜け毛対策をしたい」と思ったら

それでは、どうやって抜け毛の対策を行えばいいのでしょうか。浜中先生に、忙しい人でも手軽にできる抜け毛対策を教えてもらいました!

サラダチキンなど「良質なタンパク質」を摂取する

髪によいとされる食材は、良質なタンパク質を豊富に含む「魚介類、豆類、海藻類、野菜類、ナッツ類、キノコ類、いも類」の7種類。

秋の味覚では、さんまやサツマイモがおすすめですが、コンビニなどでも手に入るサラダチキンも手軽です。また、体は最初に食べるものをより多く吸収するため、食べる順番は、野菜から炭水化物の順番で食べるように意識するといいそうです。

1日6時間睡眠の朝型生活と適度な運動

1日6時間以上の睡眠をとり、規則正しい生活を送ることが大切。髪は寝ている22時~2時ごろに分泌される成長ホルモンによって成長するため、睡眠時間がずれてしまうと、髪の成長を妨げてしまう可能性があるのだとか。

また、血流改善にはウォーキングなどの適度な運動が有効だそうです。

「濡らす・泡立てる・頭皮から洗う」適切な洗髪で頭皮環境を清潔に

シャンプーの種類はいろいろありますが、髪と頭皮のことを考えるとアミノ酸系のシャンプーがオススメとのこと。

ただし最も大切なのは、自分の頭皮に合ったシャンプーを選ぶこと。髪を洗う頻度については1日に1回として、その日の汚れはその日の夜に落として頭皮環境を整えることが大切だといいます。

洗髪も「洗髪前にしっかり頭皮をぬらすこと」、「しっかりシャンプーを泡立てること」、「髪の毛ではなく頭皮から優しく洗うこと」を意識すると効果的です。

抜け毛を予防する育毛剤もオススメ

血流を良くする頭皮マッサージや、抜け毛を予防する育毛剤もオススメ。また、抜け毛の予防ではなく髪の毛を生やしたい場合には、育毛剤ではなくミノキシジル配合の発毛剤の方が良いそうです。

どれもすぐに実践できそうなものばかりなので、抜け毛が気になる人は試してみるといいかもしれません。

深刻な場合は、受診の検討も

浜中先生は、抜け毛が気になったらまず実践できることとして、「コロナ禍の前後で生活習慣が変わっていないかを確認し、改善すること」を挙げられていました。

ただし、自力での改善に限界を感じたら、医療機関を頼るのも手。実際に医療機関にかかると、国内では唯一発毛効果が承認されている「ミノキシジル」をメインに、定期的な診断や写真での治療効果を把握しながら、治療が進められるそうです。

抜け毛の対策は、髪の毛のためだけでなく、心身の健康にもつながりそうな内容ばかり。夏の疲れも引きずりがちな今の時期、ご自身のためにぜひ実践してみてはいかがでしょうか。