東京2020組織委員会はこのほど、2021年に開催が延期された東京2020パラリンピックの大会の位置づけ、原則、ロードマップを公表した。
同委員会は、史上初の大会延期に伴い、大会準備について、IOC、IPC、東京都、政府などと協議を重ねてきた。パラリンピックについては、IPCなどとの協議を行い、パラリンピック固有の価値に配慮して「位置づけ」を見直すとともに、大会のシンプル化に主眼を置いた「原則」および来年の夏までの「ロードマップ」については改めて確認した上で、IPC 理事会に報告したという。
「位置づけ」では、「パラリンピックの本質は競技とアスリートにあり、多様性を認め合う契機となって共生社会の実現に資するもの」「東京2020大会もアスリート、持続可能性、復興、スポーツの持つ力に重点を置くこと」「パラリンピック特有の価値を尊重し、国内外でパラリンピック・ムーブメントをさらに発展させることを目指す」という共通理念を柱に、2021年に東京2020大会を開催するとした。
コロナ以前は、2020年に障がいのあるアスリートによる世界最大の競技大会として開催する準備を進めてきたが、コロナの影響で物事の優先順位も変化。史上初の延期となり、コロナのもたらす社会的・経済的影響から、開催には大きな課題が生じていることも挙げた。
しかし、こうした世界的な状況は、日本、オリンピック・ムーブメント、パラリンピック・ムーブメント、世界にとって団結・連帯の大きな機会を提供する契機ともなるとしている。2021年の東京2020パラリンピックは、「人間の努力、くじけぬ力そして希望を世界中で讃えあう機会」「日本のベストを結集し、経済を活性化させ、世界をインスパイアし、多様性を認め互いの個性を尊重する未来への持続可能な出発点」「パラアスリートが真に輝く競技大会」になるというビジョンを描いている。
こうしたビジョンを礎に、「選手、観客、関係者、ボランティア、大会スタッフにとって、安全・安心な環境を提供することを最優先課題にする」「延期に伴う費用を最小化」「安全かつ持続可能な大会とするため、大会を簡素(シンプル)なものとする」の三点を基本原則とし、準備を進めていくという。
「原則」は、大会のシンプル化に主眼を置いた。世界における経済、社会、医療の新たな状況に即し、延期に伴う費用と負担を最小化し、競技と選手に重点を置きつつ、サービス水準の見直しを含んだ効率化・合理化を進める。簡素化は、コスト削減とコロナ対策の両面から求められるとしている。
あわせて「ロードマップ」も公表された。現在行われているサービス水準や範囲・規模などの再点検・見直しは2020年12月中旬までに行い、2020年8月から順次、コロナ対策などの追加施策も実施していく。実施準備は、2020年12月から2021年4月中旬までを予定。直前準備は2021年4月~6月にかけて実施する。
テストイベントは、2021年3月から5月末までを予定。オリンピック聖火リレーは、2021年3月下旬から開催する。パラリンピック聖火リレーはオリンピックとパラリンピックの移行期間である2021年8月中旬に開催する。
なお、スケジュールについては変更の可能性もあるとのこと。