まだまだ終息の兆しが見えない新型コロナウイルス。各企業はリモートワークの導入を進めている。その利便性ゆえに、コロナ後も一定以上の割合で定着していくだろう。

通勤の労力を省けたり、オフィスの賃料が削減できたりとメリットの多いリモートワークだが、一方でオンラインならではのトラブル、とくに"ハラスメント"についての報告もあるようだ。今回はマイナビニュース男女会員1,000人にアンケートを実施し、リモートワーク化でハラスメントを受けたと感じたことについて聞いてみた。

  • ビデオ会議やリモートワーク化によるハラスメントを経験したことはある?

Q.あなたはリモートワーク(在宅勤務、テレワークなど)を経験したことがありますか?

「はい」(52.7%)
「いいえ」(47.3%)

Q.ビデオ会議やリモートワーク化によるハラスメントを経験したことがありますか?

「はい」(49.1%)
「いいえ」(50.9%)

Q.リモートワークになったからこそ生じたハラスメントについて、あなたがハラスメントと感じた体験談を具体的に教えてください

■「頻繁に仕事の進捗を確認する/監視が厳しい」

・「1時間に1回、電話確認で仕事の進捗状況を強要された」(43歳女性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「パソコンから席を外れると、さぼっていると思われて困ります」(48歳男性/旅行・観光/販売・サービス関連)
・「いちいちオンラインで監視している上に、細かい時間の報告書まで作成させる。で、進捗実績に文句を言う」(34歳女性/専門コンサルタント/事務・企画・経営関連)
・「連絡が取りづらかったり、連絡の遅れなどを指摘された」(40歳女性/その他電気・電子関連/その他技術職)

■「プライベートのことを詮索される」

・「家の様子をこまごまと指摘される」(34歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「子どもがうるさくしてしまい、会議を途中で抜け叱責された」(45歳女性/広告・出版・印刷/事務・企画・経営関連)
・「開始前に、カメラに映らない部分を見せるように言われた」(47歳男性/専門店/販売・サービス関連)
・「リモートで画像を録画されていて、個人情報がめちゃくちゃ漏れていた」(41歳女性/その他/IT関連技術職)
・「背景の本棚の本の内容を話させられたり、間取りを聞かれたり、プライベートに踏みこまれたりして苦痛だった」(46歳女性/コンピューター機器/IT関連技術職)

■「リモート飲み会や、個人的なやりとりを強要された」

・「リモート飲み会を強要されて断れなかった」(30歳男性/エステティック・美容・理容/販売・サービス関連)
・「簡易な状況確認後に、そのまま流れでリモート飲み会を強要された」(40歳女性/食品/技能工・運輸・設備関連)
・「仕事かプライベートかわからないようなメールがすごく増えた」(45歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「オンライン飲み会を強要された上、いやいやながら参加したら、なかなか退出できず、延々と付き合わされるハメになった」(40歳男性/その他/事務・企画・経営関連)

■「暴言・無視」

・「一方的。意見を聞かない。命令ばかり」(29歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「チャットで何度呼びかけても、徹底的に無視されました」(48歳男性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「服装がラフすぎて怒られた。回線のせいなのに途切れたりしたら、嫌味を言われた」(42歳男性/食品/事務・企画・経営関連)

■「過大な業務や、時間外業務を強いられる」

・「夜遅くにメールが届きます」(40歳男性/ホームセンター/営業関連)
・「時間が決まっていないので、仕事の延長がありますね」(37歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「プライベートな休み時間までモニタの接続を切れなかった」(45歳男性/フードビジネス/事務・企画・経営関連)
・「朝礼や会議で顔出しを強要。ただ、私が会社から貸与されているPCにはカメラがついていないのですが、その顔出しのためにWEBカメラを買うと言い出したので、あと1カ月足らずでリモートも終了なので、と納得してもらいました。あとメールでの指示が多くなってますが、まったくやったことがない業務について、『これやっといて』の一言だけで転送されてきたり、電話もお昼の時間など構わずかかってきます」(44歳女性/電力・ガス・エネルギー/事務・企画・経営関連)

■「その他」

・「急に会議を開くのは困る。事前に通知すべき」(44歳男性/その他/専門職関連)
・「機材の購入を強要された」(35歳男性/その他/公共サービス関連)
・「メールでの報告を認められず、同じ内容を電話で報告させられる」(25歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「家庭で利用しているポケットWi-Fiに制限があり、無駄なテレビ会議を避けたいと伝えたら、セコいと言いふらされた」(44歳男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/事務・企画・経営関連)
・「多人数での会議で上司たちは音声通話で、新人はビデオ通話を強要された」(43歳男性/その他/その他・専業主婦等)

■総評

調査の結果、リモートワーク(在宅勤務、テレワークなど)を経験したことがある人は52.7%で、半数以上がリモートワーク経験者であることがわかった。

続いてリモートワーク経験者にビデオ会議やリモートワーク化によるハラスメント、いわゆる"テレハラ・リモハラ"を受けたと感じたことがあるか聞いたところ、「はい」が49.1%と、こちらも半数近くが経験があることが明らかになった。

リモートワークになったからこそ生じた"テレハラ・リモハラ"についての体験談を聞いた。「頻繁に仕事の進捗を確認する/監視が厳しい」では、「離席などのチェックが厳しい」「オンラインで監視される」「電話やメールで頻繁に報告させられる」。「プライベートのことを詮索される」では、「画面に映り込んだ部屋をチェック」「服装を指定」「プライバシー情報を聞かれる」。

「リモート飲み会や、個人的なやりとりを強要された」や「暴言やセクハラ発言をされた/無視された」では文字通り、仕事に直接関係ない誘いや言動で不快な思いをした経験が綴られている。

また「過大な業務や、時間外業務を強いられる」では、「リモートワークでは通常の就業規則は適用外」とばかりに、時間や業務量を無視した様々な要求が。仕事に関わる時間とそれ以外の境界が曖昧になるのもリモートワークの特徴かもしれない。「その他」では、「急に会議を開く」「機材の購入を強要」「無駄なミーティングを開催」などに当惑する声が寄せられている。

全体を通じて、上記のような"テレハラ・リモハラ"が発生する原因としては、上司や管理者側の"不安"と"慢心"が根底にある印象がある。つまり、管理者はリモートワークでのスタッフの業務の進捗や成果に関して常に"不安"に感じており、一方でリモートワークであるがゆえに"慢心"し、通常の勤務規定の遵守やプライバシーに関する配慮が疎かになっているのではないか、ということだ。

この"不安"と"慢心"はいずれも、人と人とが対面するフィジカルな付き合いの中では起こりにくい。相手の存在が身近にあれば気軽に確認できたりリスペクトを持って接したりできるのに、オンラインではなかなか難しい、リモートワークならではの心理状態と言えるだろう。

あるいはオンラインであるがゆえに、もともと持っていた人間性や本質が露わになる、ということもあるかもしれない。今回は、そんなリモートワークの持つ問題点・改善点が明らかになるアンケートとなった。

リモートワークは始まったばかりで業務上のマナーや振る舞い、規則などはまだまだ定まっていない部分がある。今後、リモートワークがいっそう一般化するに従って、これらも整備されていくことを期待したい。

調査時期: 2020年5月12日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 1,000人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません