JR東海は、東海道新幹線の安全確保のために運転士が訓練に使用する、自然災害や列車火災などにおける異常時対応力さらなる向上を目的とした「異常時訓練シミュレ―タ」の導入が5月に完了する予定と発表した。

  • 「異常時訓練シミュレ―タ」

JR東海は新幹線運転士に対し、教材を用いた知識面での教育を実施するとともに、実際の車両やシミュレータを用いた実践的な訓練を行っている。既存のシミュレータは車両故障への対応を目的としていたが、「異常時訓練シミュレ―タ」は自然災害や列車火災などにおける異常時対応力をさらに向上させるため、導入されている。

「異常時訓練シミュレ―タ」では、さまざまな異常事態をリアルに再現し、運転士の判断力を高める訓練を行える。駅ホーム・橋梁・トンネルなどの線路条件や、車内防犯カメラの映像をCG化することで、運転士から実際に見える状況を再現。運転士が実際に経験する機会の少ない自然災害・飛来物・列車火災・乗客の接近といった異常事態を再現して疑似体験ができ、複数の異常事態を組み合わせ、再現することも可能。運転士は再現された異常事態に対し、瞬時に判断・機器操作を行い、CG画面の表示結果を通じて操作が適切であったかどうかを体感できる。

訓練目的に応じた「対話形式訓練シミュレータ」「自習形式訓練シミュレータ」の2種類を導入しており、「対話形式訓練シミュレータ」は講師が指令や車掌役となり、運転士とマンツーマンで対話しながら体験できる。「自習形式訓練シミュレータ」は自身の目的や技量に見合った訓練メニューを選択することで、弱点補強を行える。

  • 「異常時訓練シミュレ―タ」(対話形式)

今回導入する「異常時訓練シミュレータ」により、運転士が実際に経験する機会の少ないさまざまな異常事態を設定し、適切な取扱いを繰り返し訓練することで、異常時対応力を強化するとのこと。導入時期は5月の予定。導入台数は対話形式訓練シミュレータが4台、自習形式訓練シミュレータが36台。導入箇所は東京・名古屋・大阪の乗務員職場と三島の総合研修センターとされている。