米Texas Instruments(TI)は米国時間の2月11日、高電力密度絶縁型DC/DCバイアス電源IC「UCC12040/UCC21050」を発表した。この発表にあわせて日本でも説明会が開催された(Photo01)。

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    Photo01:説明を行ったTIのRyan Manack氏(Business Lead, High Voltage controller, High Voltage Power)

UCC12040/UCC12050は、小型パッケージ(10.3mm×10.3mm×2.65mm)ながら、高い絶縁能力(絶縁5kVrms/動作電圧1.2kVrms)を持ち、低いEMI特性(CISPR 32 Class B準拠)ながら高い電力供給効率(60%)と500mW出力を実現するDC/DCバイアス電源。2製品の違いは、UCC12040が絶縁3.4kVrms/動作電圧850Vrmsに下げられ、その分やや低コスト化が図られている点にある。

2製品のターゲットアプリケーションは、医療機器や産業機器をはじめとしたさまざまな機器である(Photo02)。

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    Photo02:この写真だと医療機器だが、小型化へのニーズは非常に強く、しかも人が接触する可能性があるので絶縁は必須となる。こうした用途をまずは狙う事になる

こうしたシステムでは、またEMI対策も重要視されており、小型・高出力・高絶縁性・低EMI特性の4つが求められることとなる。TIでは、これを満たすための製品ラインアップの第1弾として、「小指の先サイズ」の製品を今回発表した形だ(Photo03)。

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    Photo03:「従来の製品だと、どうやっても実装面積は指一本分ほど必要だったが、今回これを爪先ほどにまで縮小出来た」

2製品の核となるのは、Photo03の右下にもある独自の統合トランスという事になるが、これの詳細は今回発表されなかった。ただし、同社によれば、トランスの1次容量/2次容量ともに非常に低く、これがEMI低減に大きな効果を発揮する、という話であった。ちなみに普通に考えれば内部は2ダイ構成で間をトランスがつなぐ形になっているとは思うのだが、そのあたりの詳細も今回は未公表とされた。

さて、冒頭でもちょっと触れたが、UCC12040/UCC12050の主要なターゲットはこちら(Photo04)となる。もっともこれは今回の高電力密度絶縁型DC/DCバイアス電源シリーズの最初の製品と言う事で、今後はさらにラインアップを増やしていく予定はあるが、具体的にどういう方向に増やしていくかといった事は当然ながら現状は非公開とされている。

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    Photo04:サーバがこんほど省電力で動くのか? という若干の疑問はあるが、それ以外は概ね妥当な分類

ちなみに競合製品との差別化のポイントは、サイズの小ささやBOMコストの低さもさることながら、電力密度の高さとEMI、それと-40℃~+125℃の動作範囲を含む堅牢性の高さとされる(Photo05)。

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    Photo05:ディスクリートで組んだ場合、効率は30%程度になるのが普通で、60%という高い効率はそれだけで大きなアドバンテージだとする

すでにチップのみならずEVM(評価モジュール)も提供が開始されており、すぐさま利用が可能、というのがManack氏の説明である。ちなみにこの基板からも判る様に、通常だとEMI対策のために利用されるチョークコイルだのフェライトビーズだのが一切必要ない、という点が実装面積の削減とBOMコストの低減に大きく貢献するという話であった。

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    Photo06:右下のジャンパで出力電圧を4段階に可変可能である

なお、UCC12040/UCC12050はいずれも16ピン SOICで提供され、1000個発注時の価格はそれぞれ3.90ドルおよび3.15ドルとなっている。また評価モジュールは99ドルで、いずれもすでに出荷を開始している。