2020年春公開予定の映画『瞽女GOZE』で、女優・吉本実憂は新境地に挑んだ。演じるのは、瞽女(ごぜ)と呼ばれる盲目の女旅芸人。三味線を弾き歌うことはもちろんのこと、「最後の瞽女の一人」とも称される小林ハルさんをモデルとしていることから、相当なプレッシャーがあったことは想像に難くない。
吉本はいかにしてこの難役と向き合ったのか。2019年12月に行われたイベント「晴れ着撮影会」終了後、撮影秘話を探った。
■オフの過ごし方も仕事の一部
2019年はたくさんの出会いがありました。「人との出会いから積極的に吸収しよう」というつもりはありませんでしたが、「たくさんの人と出会って、いろいろなお話がしたい」と強く思った一年でした。『ゼブラ』(CBCテレビ)が終わった後も、「ゼブラ会やろう!」とみんなで集まったり。地元・福岡の親友が東京に遊びに来た時には、ディズニーやチームラボを案内しました。
この職業は、オフの過ごし方が結果的に仕事に繋がると思っています。昔はすごく頭が固くて、「こうしなければいけない」みたいな思い込みに縛られていました。そうなると、可能性が自分の想像の中に収まってしまいます。だから、何事もとにかくやってみて、「行った先に何かがあるかもしれない」という可能性を広げる作業を、「人との出会い」を通じて自然とやっていたんだと思います。
■実在の人物を演じる上での心掛け
多くの出会いの中でよく言われたのが、「そのままの方がいいよ」。実はこの晴れ着撮影会も、過去を見返すのも恥ずかしいくらいで。お辞儀の角度からしゃべり方まで、「いかにきれいに見えるか」を気にしていました。2019年は「そのままの自分」でも受け入れてくださる方がたくさんいて、確かに自分がリラックスしている状態だと柔軟に対応できたので、「このままでいいんだ」と素直に思えるようになりました。
2020年春には映画『瞽女GOZE』が公開されます。実在した盲目の女旅芸人・小林ハルさんを演じさせて頂きました。実在の方を演じる時は、いつもより繊細さを意識して携わるようにしています。劇中では三味線も弾いていて、最初は音を入れる予定だったそうですが、そのまま採用されたので練習の成果があったかなと思います。発声法も独特なので、1カ月半ほど練習を重ねて。小林ハルさんの歌声はきれいに歌うのではなくて、声を潰すようなイメージだそうです。撮影は、2019年の春と秋。難しかったですけど、自分の役者人生でとても良い経験になりました。ハルさんの人生そのものを通して、その思いを代弁できるように……。
2019年を漢字で表すと「基」。自分自身が映画に心を動かされることが多いので、将来的にしっかりとした映画人になりたいという覚悟ができたのと、自分が好きなものの目標もいくつか立てることができました。1年で叶うか分からない目標もありますが、2020年は年女なので叶った時にはご報告できたらいいなと思います。
■プロフィール
吉本実憂(よしもと・みゆ)
1996年12月28日生まれ。福岡県出身。AB型。2012年、第13回全日本国民的美少女コンテストにてグランプリを受賞し、芸能界入り。2014年、読売テレビ・日本テレビ系の『獣医さん、事件ですよ』で女優デビューを飾り、大河ドラマ『軍師官兵衛』にも出演。2019年は『ゼブラ』(CBCテレビ)、『水戸黄門』(BS-TBS)などのドラマ、『めんたいぴりり』、『透子のセカイ』、『JK☆ROCK』などの映画に出演した。