アメリカのIT系WEBサイト、テッククランチが開催する「TechCrunch Tokyo2019」が11月14日~15日、渋谷ヒカリエで開催された。
「TechCrunch Tokyo」は、今年で9回目を迎える国内最大級のスタートアップ・テクノロジーイベントで、業界で活躍する国内外のゲストスピーカーを迎え、ディスカッションやセッションが行われた。
期間中は100近い企業・団体がブースを出展し、独自のサービスやコンテンツを来場者に向けてアピールしていた。出展企業の多くは起業間もないスタートアップカンパニーだが、富士通や東急、三菱UFJ銀行などの大手企業の姿も目立った。
グローバル決済ブランドで知られ、さまざまな決済技術を提供するVisaも今回初出展。「Visa Fintechファストトラックプログラム」に関するブースを設け、同プログラムに参加しているパートナー企業の「Kyash」「Kanmu」と共にプログラムについての説明を行った。
「Visa Fintechファストトラックプログラム」は、パートナーであるフィンテック企業にVisaの決済ネットワークを活用してもらい、迅速かつ簡潔にグローバルな決済環境を提供することを目的にしている。
Kyashは、プリペイド式Visaカードで、最大5枚までクレジットカードまたはデビットカードを登録し、アプリ上でリアルタイムに管理できる。年会費無料、審査不要で全国のVisa加盟店で利用できる。Kanmuは、プリペイド式Visaカード「バンドルカード」を展開し、アプリ上での利用や「リアルカード」を発行して、実際に買い物などに利用できる。
今回、Visaが3月に新たに立ち上げた「デジタル・パートナーシップ&プリペイド」の部長である福谷大輔氏に話をうかがった。
――現在、Visaはフィンテックに対してどのような展開をされていますか?
昨今のスタートアップやフィンテックの普及により、決済のシーンも広がってきました。そのため、フィンテックに特化した、Visaの発行やビジネスの支援をする部署を立ち上げました。そこで「Visa Fintechファストトラックプログラム」を展開しています。
――具体的にどのようなプログラムなのでしょうか?
今までのVisaの発行に掛かる期間をフィンテック向けにアレンジして、いち早く発行できるようにしたり、スタートアップ企業と金融機関との仲立ちとして、導入支援のビジネスコンサルテーションを行ったりしています。Visaカードの発行会社と協業するケースや、提携カードの発行のために既存のカード会社をフィンテック企業へ紹介する場合があります。
――今回のイベントへの出展は、どのような意図があるのでしょうか?
今回のイベントを通じ、スタートアップやフィンテック系の企業への認知向上を目指しています。これからのキャッシュレス社会にそれらの企業が担う役割は大きいと思いますので、さらなる支援をしていきたいと思っています。
――このようなVisaの新しいビジネスは、実際にサービスを利用するユーザーにはメリットがあるのでしょうか?
Visaは、世界にまたがるブランディングとネットワークを持っています。そのビッグデータを活かして、金融機関の情報やカードの不正利用を防ぐリスク管理など、使う側にもメリットをもたらします。
――注目しているスタートアップやフィンテック企業はありますか?
決済系はもちろんですが、BtoBの決済系スタートアップや会計、クラウドソーシング系の企業は注目しています。また今後広がりが期待されるペイロールカード(企業が直接給与などを振込めるカード)に対してもフィンテック系の企業が参入できると思いますので注目しています。