暑かった夏が過ぎ去り、これから肌寒い秋冬を迎える。季節の変わり目になると、肌が荒れて困るという人も多いのではないだろうか。そんな人に役立つ研究結果が9月26日、資生堂からもたらされた。同社が同日発表した、日本気象協会とコラボしたユニークな取り組みとあわせて紹介しよう。

  • 資生堂は寒暖差による肌荒れの原因を明らかにした

    資生堂は寒暖差による肌荒れの原因を明らかにした

寒暖差は肌に直接悪かった!?

季節の変わり目に敏感肌になるのはどうしてだろうか。そんな女性の気になるテーマの研究に挑んだのは、資生堂グローバルイノベーションセンター研究員の村田大知氏。同氏はまず、何らかの敏感肌意識を持つ20~49歳の女性200名を対象にしたアンケート調査の結果を紹介した。それによれば、季節の変わり目に敏感肌になる原因として、回答者の72%が「寒暖差が大きくなるから」と回答している。また97%の女性が「寒暖差が肌にダメージを与えている」と実感していることもわかったという。

  • 多くの女性が、寒暖差が肌に悪影響を与えていると実感していた

    多くの女性が、寒暖差が肌に悪影響を与えていると実感していた

  • 資生堂グローバルイノベーションセンター研究員の村田大知氏は「研究によって得られた新知見が、女性の皆さまの美容に役立つと嬉しい」と話す

    資生堂グローバルイノベーションセンター研究員の村田大知氏は「研究によって得られた新知見が、女性の皆さまの美容に役立つと嬉しい」と話す

従来は、寒暖差が自律神経の乱れを引き起こすことから、肌の状態に悪影響を及ぼすと考えられていた。しかし資生堂では、「温度低下による刺激が肌に直接悪影響を及ぼしている」と仮説を立てて研究を進めた。そこで人間の皮膚を模した3次元培養皮膚モデルに温度低下刺激を与え、6万個の遺伝子を解析。肌荒れ原因の特定を進めた。

  • 人間の皮膚を模した皮膚モデルに温度低下刺激を与え、6万個の遺伝子を解析した

    人間の皮膚を模した皮膚モデルに温度低下刺激を与え、6万個の遺伝子を解析した

するとマイナス8度の温度低下により、肌バリア/うるおい促進酵素である「カスパーゼ14」が減少することが初めて明らかになったという。村田氏は「外部環境の温度低下刺激が、皮膚細胞の中のカスパーゼ14を減少させ、肌のバリア機能と保湿機能を低下させることによって、肌荒れにつながっていた」と断定する。

  • 温度低下刺激がカスパーゼ14を減少させていた

    温度低下刺激がカスパーゼ14を減少させていた

そこでカスパーゼ14を増加させる薬剤がないか、さらに研究を続けると、木苺果実抽出液に効果があることを突き止めた。ヒトによる試験でも、同様の効果が得られたという。資生堂では、この研究結果を活かした新発想の美容液の開発に着手。3年の歳月をかけて、保湿ケアアイテムとして、キイチゴエキスなどを含むカンダンバリアコンプレックス配合の「カンダンバリア エッセンス」を製品化した。10月21日発売で、希望小売価格は3,000円(税別)となっている(レフィルは2,700円)。

  • 敏感肌用保湿美容液「カンダンバリア エッセンス」

    敏感肌用保湿美容液「カンダンバリア エッセンス」

  • 洗顔後すぐに使用する、軽やかな感触の美容液。うるおいバランスを整え、揺らがない美肌を保てるとしている

    洗顔後すぐに使用する、軽やかな感触の美容液。うるおいバランスを整え、揺らがない美肌を保てるとしている

「寒暖差肌荒れ指数」公開へ

温度低下刺激が肌荒れにつながる、ということがわかれば、気になるのは天気予報だ。明日はどのくらい温度が低下するのだろうか――。そこで資生堂では、日本気象協会と共同で「寒暖差肌荒れ指数」を開発した。天気予報専門メディア「tenki.jp」で、9月26日より新指数として公開を始めた。日本気象協会の安斎理沙さんが登壇して詳細を説明した。

  • 「寒暖差肌荒れ指数」を紹介する、日本気象協会本社気象予報士の安斎理沙さん

    「寒暖差肌荒れ指数」を紹介する、日本気象協会の気象予報士・安斎理沙さん

寒暖差肌荒れ指数は、秋冬の日々や屋内外の気温と湿度の状況から、肌の乾燥・肌荒れに対するリスクレベルを5ランクに分けて伝えるもの。気象コンサルティングのノウハウを元に、前日との気温差や1週間を通じての気温差など、様々な期間の気温差や湿度のデータと、資生堂の持つ肌や美容に関する研究結果などの知見を加味して指数を算出している。対象エリアは全国の約1900地点。一日に12回更新されるもので、当日・翌日・週間の情報を公開する。スマートフォン、PCから閲覧できる。提供期間は3月31日までを予定しているという。