大規模災害が発生すると、たくさんの個人ボランティアが被災地に駆けつけることが日本でも定着してきました。ボランティアはお手伝いに行くのですから、行動は自己完結が基本。準備していくものはいろいろありますが、保険も重要なアイテムのひとつです。

せっかくの想いが残念な結果に終わらないよう、災害ボランティアなどに出かけるときに確認しておきたい保険について紹介します。

災害時にボランティアが活動することは当たり前になってきた

日本でボランティア元年といわれるのが、1995年の阪神・淡路大震災。毎年1月17日が防災とボランティアの日と定められ、法律にもボランティアという言葉が明記されました。それ以降、地震や台風、豪雨災害が起こるたびに、多くの個人が被災地で活動しています。

災害ボランティアとして被災地へ行くときは、まず被害状況やボランティアの受け入れ先情報、交通事情、宿泊場所の確認などが必要です。災害の状況や季節によっては服装や持ち物も変わってきますから、インターネットなどでの情報収集も欠かせません。

これらの準備と同様に忘れてはいけないのが保険の加入です。というのは、手伝うためにボランティアへ行ったのに物を壊してしまったり、自分がケガをしたりと後味の悪い事態が起こってしまうこともありうるから。せめて保険をかけて、費用だけでも備えておく必要があります。

災害ボランティアをするなら必ず「ボランティア保険」へ加入を

ボランティア活動中の事故を対象にして作られた保険が「ボランティア保険」です。最近では災害ボランティアに参加する個人・団体は、ボランティア保険への加入が強く勧められています。

加入手続きは、自治体の社会福祉協議会やボランティアセンターが窓口。現地は混乱していることが多いので、出向く前に居住地で加入しておきましょう。ボランティアバスツアーやNPO団体へ参加する場合は、参加費や会費に含まれていることもあるので確認が必要です。

保険の内容は各都道府県によって若干異なりますが、基本的なことは下図の通り。傷害補償(死亡、後遺障害、入院、手術、通院など)と賠償責任補償が対象で、保険金はプランによって異なります。期間は4月1日0時~3月31日24時まで、途中加入の場合は開始が加入手続き完了日の翌日0時となりますが終了は同じです。

ただし大規模災害時などは特例が適用され、加入手続きが完了した時点から補償が開始されます。保険には基本コースと天災コースがありますが、災害ボランティアの場合は、活動中に二次災害が起こる可能性があるため天災タイプを選択するのがおすすめです。

ボランティア保険の対象にならない活動をする場合はどうする?

前項のボランティア保険は、対象となるボランティア活動が決められています。所属するボランティア活動団体の会則に則り企画立案された活動や、社会福祉協議会の委嘱を受けた、または社会福祉協議会届け出た活動であることが必要です。

さらに活動は日本国内で、無償の活動(交通費・食事代など費用弁償程度の支給は無償とみなされる)、自発的な意思により他人や社会に貢献することを目的とする活動と定められています。ですから、個人が被災した知人や友人の手伝いに行く場合は対象にならないため利用できません。

そんなとき使える保険に、下図のようなものがあります。

「スポーツ安全保険」は名称がスポーツとなっていますが、4人以上ならばボランティア活動や文化活動も対象になります。「レジャー保険」「傷害保険」は商品によって補償が受けられる範囲が異なるので、どこでどのような活動をするのかを損保会社に伝えて万一のとき補償が受けられるかどうかを確認しておきましょう。

また「個人賠償保険」も日常生活の事故は補償されますが、ボランティア活動が職務遂行中とみなされることがあるようなのでこれも確認が必要です。

保険は“万一”に備える商品です。災害後は日常よりもリスクが高い状況ですから、ボランティアへ行く際はきっちり備えをしてから向かいましょう。

  • 鈴木弥生

鈴木弥生

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。