長い梅雨が終わり、いよいよ夏本番といった真夏日が続いています。日本気象協会が発表した2019年の気温傾向と熱中症傾向によると、8月の気温は全国的に平年並みか高くなり、厳しい暑さとなる日が多くなるとのこと。9月になっても平年並か高い気温になると予測されています。

  • 「2019年8月~9月の気候傾向」※7月24日時点(画像提供:日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト)

    「2019年8月~9月の気候傾向」※7月24日時点(画像提供:日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト)

熱中症対策がますます重要となるこの季節、健康的に夏を過ごすために、熱中症の症状や対処法などをまとめました。正しい熱中症対策で、夏を楽しく過ごしましょう!

  • 「熱中症」の症状は? 予防法ともしなってしまった時の正しい対処法を日本気象協会に聞いた

    「熱中症」の症状は? 予防法ともしなってしまった時の正しい対処法を日本気象協会に聞いた

熱中症とは? 原因や主な症状

「熱中症」は、高温多湿な環境に私たちの身体が適応できないことで生じるさまざまな症状の総称のこと。外はもちろん、温度や湿度の高い室内でも熱中症は起きてしまいます。

なぜ暑さが熱中症の原因になってしまうかというと、体温調節や体の熱を逃す機能がうまく働かなくなってしまうからなんです。人の身体は、体温が上がった時は汗をかいたり、血管を拡げ身体の表面から熱を逃がしたりして、だいたい36℃台の体温を維持しています。しかし、暑い環境で運動や活動を行うと、身体の熱をうまく外に逃がすことができなくなるのです。そこでさらに運動や活動をしてしまうと、身体が熱くなり、汗をかいて身体の水分が失われます。水分が減ると、体内の熱をうまく 体表に運び出せないだけでなく汗もかけず、37℃以下にコントロールされていた体温が上昇してしまうのです。

脳や身体の重要な臓器は、37℃以下が1番うまく機能すると言われています。体温が高くなるとこれらの機能が低下し、また、汗をかくと身体の血液が減って、血のめぐりが悪くなり、身体の調子が悪くなり、熱中症を引き起こします。

  • 環境省「熱中症環境保健マニュアル2014」から引用(画像提供:日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト

    環境省「熱中症環境保健マニュアル2014」から引用(画像提供:日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト

熱中症にはどんな症状があるの?

体温の上昇や血流の悪さが原因で起こる熱中症には、実は様々な症状があります。いくつか熱中症の主な症状を紹介していきましょう。

(1)めまいや顔のほてり
めまいや立ちくらみ、顔がほてるなどの症状は、実は熱中症の初期症状。一時的な失神は「熱失神」とも呼ばれ、炎天下や暑い室内での長時間労働やスポーツなどにより体内に熱がこもり、脳への血流が減ること、そして脳そのものの温度が上昇することで引き起こされます。

(2)筋肉痛や筋肉のけいれん
たくさん汗をかいたあとに水分のみを補給し、塩分をとらないと、熱けいれんが引き起こされることがあります。いわゆる「こむら返り」と呼ばれる、手足の筋肉がつるなども熱中症の症状のひとつである場合もあるんです。

(3)体のだるさや吐き気
体がぐったりし、力が入らない。吐き気やおう吐、頭痛なども熱中症の症状のひとつ。ただの夏バテ、と見過ごさず、水分と適度な塩分の補給を心がけましょう。

(4)汗のかき方がおかしい
汗のかき方がいつもと違うと思ったら、それは熱中症のサインかもしれません。拭いても拭いても汗がでる、まったく汗をかいていないなど、汗のかき方に異常を感じたら、熱中症を疑うようにしてください。

(5)体温が高くなる、皮ふに異常が出る
体温が高くて皮ふを触るととても熱い、皮ふが赤く乾いているなどの症状も熱中症のサインです。時には40℃を超える高熱が生じることもあります。

熱中症にならないための予防と対策

熱中症を予防するためには、暑さに負けない体作りが大切。気温が上がり始める初夏から、適度な運動や適切な食事、十分な睡眠をとるよう心がけることが大切ですが、もう既に暑いけど大丈夫? と思う方もご安心。今からでも遅くない、実践するべき熱中症の基本対策をご紹介します。

(1)水分・塩分補給はこまめに取る
のどがかわいていなくても、こまめに水分をとるようにしましょう。汗で失われた塩分の補給もできるので、塩分・糖分が含まれたスポーツドリンクもおすすめです! 特にスポーツや仕事などで大量の汗をかくときは、塩分補給をするよう意識してくださいね。

(2)睡眠環境を快適に保つ
日ごろからぐっすり眠ることで、翌日の熱中症予防につながります。通気性や吸水性の良い寝具、またエアコンや扇風機などを適度に使用し、睡眠環境を整えましょう。

(3)気温と湿度をチェックする
当日の最高気温だけでなく、その日の気温や湿度の変化を知ることも熱中症予防に効果があります。外出先だけでなく屋内でも、自分のいる環境の気温や湿度をチェックしましょう。屋内の場合は、日差しを遮ったり風通しを良くしたりして気温や湿度が高くなるのを防ぎ、扇風機やエアコンで室温を適度に下げることも大切です。

(4)日差しを避けて快適な服を着る
帽子や日傘など、直射日光を避けるだけで熱中症の予防につながります。快適に過ごせる服も重要! 麻や綿など通気性のよい生地や、吸水性や速乾性にすぐれた下着を選ぶようにしましょう。

(5)冷却グッズでお出かけも涼しく
冷却シートやスカーフ、氷枕などの冷却グッズでお出かけを涼しく快適に過ごしましょう。首元など太い血管が体の表面近くを通っているところを冷やすと、効率よく体を冷やすことができますよ。

(6)お出かけにはこまめな休憩を
出かけるときは水筒など飲み物を持ち歩き、いつでも水分補給できるようにしましょう。暑さや日差しの強い環境で活動をするときは、普段よりこまめな休憩をとるよう心がけてください。

熱中症になってしまった時はどうすればいいの?

もし熱中症かな? と思うようなサインがあったときは、すぐに処置を行いましょう。意識がはっきりしていないなどの重度な症状の場合は、医療機関に行くようにしてください。

熱中症の基本的な応急処置、3つのポイントは次のとおり。

(1)涼しい場所へ移動する
まずはクーラーが効いた室内や車内に移動しましょう。屋外で近くにそのような場所がない場合には、風通りのよい日かげに移動し、安静にしてください。

(2)体を冷やして体温を下げる
衣服をゆるめて、体の熱を放出しましょう。氷枕や保冷剤で両側の首筋やわき、足の付け根などを冷やします。皮ふに水をかけたり、うちわや扇子、タオルや厚紙などで身体をあおいで、涼しい環境作りをしましょう。

(3)塩分・水分を補給
水分と塩分を同時に補給できるスポーツドリンクなどで身体を潤してください。おう吐の症状が出ている場合や、意識がない場合は、誤って水分が気道に入る危険性があるので、むりやり水分を飲ませることはやめましょう。

熱中症の正しい知識で楽しい夏を!

今回は基本的な熱中症の原因や症状、対策についてまとめました。夏休みを利用してどこかへ出かけるという方も多いこの時期。日傘や水分補給など、外出先でも熱中症にならないようしっかり対策しましょう。お住まいの地域や旅行先などの気温や熱中症に関するニュースのチェックも忘れずに、楽しい夏を過ごしてくださいね。