日立製作所はこのほど、英国向け高速鉄道車両「Class 800」に関する意匠が全国発明表彰の恩賜発明賞を受賞したと発表した。同賞は最も優れた発明や意匠に贈られる賞で、「意匠」が受賞対象になったのは今回が初めてだという。

  • 英国向け高速鉄道車両「Class 800」

「Class 800」は、英国の都市間高速鉄道計画向けに開発された車両。英国を含む欧州では、衝突時に運転士を保護するための空間(サバイバルゾーン)の確保と、衝突時の減速度が規定されており、鉄道車両の規格が日本とは異なる。ところが、規格を満たすための部品を車両先頭部に収納しようとすると、ボディの外に張り出してしまい、スピード感のある美しさや空力性能を阻害してしまうという課題があったという。

そこで、「Class 800」では部品の小型化や設置角度を工夫することで、ボディからの飛び出しを抑え、空力性能を損わないなめらかな外観を実現した。

英国の規格では運転士に同乗する助士の視界の確保も求められることから、その条件を満たしつつ、高速車両に必要な軽量化も実現したウインドスクリーンをデザインした。英国の規格に従い、車両先頭部に警戒色として黄色い面を設け、2本の縦のラインの間に黄色い面を設ける意匠は英国における日立製車両の特徴に。同車両は現在、ロンドンを起点に英国西部・北部に向かう主要路線で運用されている。