STMicroelectronicsの日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスは、4月17日~19日にかけて、千葉県・幕張メッセにて開催されているものづくりエンジニアのための展示会「TECHNO-FRONTIER 2019(テクノフロンティア2019)」において、国内初披露となるIIoT向けリファレンスデザイン「STWIN」ならびに世界初披露となる32ビットマイコンを搭載したブラシレスDC(BLDC)モータドライバなどの紹介を行っている。

STWINは「SensorTile Wireless Industrial Node」の略称で、50mm×50mmのモジュール上に、Cortex-M4マイコンと3軸加速度+3軸ジャイロセンサ、振動センサ、3軸加速度センサ、気圧センサ、温度センサ、デジタルマイク、アナログマイク、地磁気センサといった各種センサ群、そしてBluetooth LowEnegy(BLE)やRS-485といった通信機能(オプションでLTEやWi-Fi、LTE、LoRAなどにも対応)を搭載したIoTシステム向け開発ボード。加速度やマイクなど被っているセンサもあるが、それぞれ性能が異なるため、IoTシステムを構築する上で、どういった性能のものが良いのかまだ見通せていないユーザーは高い性能のものから試していく、といったことができるようになっている。

ブースでのデモはモータの異常を超音波で検知した後、振動を検知、その後、可聴域のノイズを検知し、温度異常を検知、最後にモーターから煙が吹き出す(本当に吹き出すので、結構見ごたえがある)、というもの。この測定をすべて1モジュールで行うことができる。また併せて、Wi-Fiでデータを飛ばしてほぼリアルタイムで振動データや異常音データの検出をタブレットに飛ばすといったデモも見ることができる。

  • STWIN
  • STWIN
  • STWINのデモの様子。イベントごとにLEDが光っていくが、それに併せてGUI上の測定も変化していく。写真のモニタに写っているのはデジタルマイクで異常音を検出している様子

ちなみに各デバイスはそれぞれ提供済みだが、モジュールとしては開発中のものとなっており、ソリューションとして入手するにはまだ少し時間がかかる見込みだという。

世界に先駆けて日本で披露された高電圧BLDCモータドライバ

また、併せて同社ブースでは世界初披露となる3.3V駆動の32ビットマイコンと耐圧250V/600Vのゲートドライバを1パッケージに集積した高耐圧モータドライバ「STSPIN32F025x/60x」も展示されている。10mm×10mmの64ピン TQFPパッケージを採用しており、MOSFETと組み合わせるだけでソリューションを構築できるため、従来ソリューション比で50~70%の基板面積削減を図ることが可能になると同社では説明している。

  • STSPIN32F025x/60x

    右下が超小型ESCリファレンスボード。裏面に6つのMOSFETが搭載されている。その右が従来のリファレンスボードで、部品点数の削減ならびに基板サイズの小型化が可能であることが見て取れる

主にドローンや充電式の掃除機などといったバッテリーを活用した機器の小型・軽量化ニーズに対応するもので、2019年上半期中に正式発表される予定となっている。 このほか、同社ブースでは第2世代技術を採用した650V/1200VのSiC MOSFETの紹介なども行われている。

第2世代品は前世代品と比べ集積度を向上させたとのことで、1cm2あたりのオン抵抗は1200V耐圧品で5.5mΩ、650V耐圧品では4mΩを実現している。現在開発を進めているプレーナゲート構造を引き継ぐ第3世代、そしてトレンチゲート構造へと移行する第4世代ではさらなる低オン抵抗が実現される見込みだという。

  • SiC

    STの第2世代SiC MOSFET。1200V耐圧品は2019年内に提供を開始する予定だという

なお、同社ではSiCのウェハ供給量確保に向け2019年1月にCreeと複数年にわたる供給契約を締結、2019年2月にはSiCウェハメーカーのNorstelの株式の過半数を取得するなど、積極的な動きを見せており、イタリア・カターニャ工場の6インチラインの増強を含め、今後のSiC市場での成長を目指すとしている。