映画『麻雀放浪記2020』(4月5日公開)の公開初日舞台挨拶が5日に都内で行われ、斎藤工、もも(チャラン・ポ・ランタン)、ベッキー、岡崎体育、音尾琢真、竹中直人、白石和彌監督が登場した。
同作は、阿佐田哲也の250万部を超えるベストセラー小説を実写映画化。主人公・坊や哲(斉藤)がいるのは、2020年の未来。人口は減少し、労働はAIに取って代わられ、街には失業者と老人があふれており、東京オリンピックが中止となっている。1945年の戦後からやってきたという坊や哲が思わぬ状況で立ちはだかった麻雀で死闘を繰り広げる。
テクノバンド・電気グルーヴのメンバーで俳優のピエール瀧容疑者が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたことを受け、白石監督と東映代表取締役社長・多田憲之氏がノーカットのまま公開することを会見で発表するなど、波紋を呼んでいた同作。4日に瀧容疑者が保釈となったことで、舞台挨拶後に斎藤と白石監督が囲み取材に応じた。
斎藤は「保釈されたからといってこちらが変わるわけではないんですが、これだけ大きな波紋が広がることも、想像ができてもいざ目の当たりにして初めて実感されてるんじゃないかなとも思います」と苦しそうな表情を浮かべる。また白石監督がメディアからの厳しい質問に答えている姿を間近で見てきたことから、「その(監督の)姿こそをピエールさんに見ていただきたい。猛省していただきたいと思ってます」と気持ちを表した。
さらに「もしかしたら僕ら自身も、信用され過ぎているんじゃないか」という考えも提示。「常に検査をというのも……僕自身はそれくらいでもいい」と明かし、「そのくらい、キャストもスタッフも信頼という上で仕事が成り立って、放送や公開にたどりつくというプロセスについて、深く考えました」と語る。「作品ごとに審議議論は必要だと思うし、特殊なケースかもしれないけど、一つの『麻雀放浪記2020』が出した答えが、映画人、映像にまつわる方達の希望になることを願っております」と語りかけた。
一方、白石監督は「"映画監督とピエール瀧"という関係性では、作品を作るのは難しいかもしれませんけど、ここからは一友人として、必要であれば、瀧さんの治療とか、社会の中で何を貢献していけるかは、協力できることはしたい」と今後への思いを明かす。「僕も今まで映画の中で薬物のシーンを出して、この映画にも少しあるんですけど、ただ撮るだけじゃなくて、一緒に考えていきたいなと思っています」と改めて語った。
「いろんな事件がありますけど、一本一本、出演者、我々スタッフ含めて、どういう思いで作品を作っているかということは、関わっているものみんなが考えなければいけない」という白石監督。「そもそもなぜエンターテインメントとして、見ているお客さんに何を届けようとしているかということは、この世界に関わるものが、みんな考えて真摯にやってくしかないなと思ってます」と今後への思いを吐露した。
舞台挨拶では、シークレットゲストとして、前都知事の舛添要一氏も登場。本人役で出演し、麻雀五輪の開会宣言を行うことも発表された。舛添前都知事は「世の中暗いことがあるから、みんなで楽しくできればいいなという感じで」とオファーを受けた時の気持ちを明かし、斎藤も「センセーショナルなシーンになっております。おかげさまで」と感謝していた。