2019年の半導体材料市場はどうなるのか?、2018年末に開催されたSEMICON Japan 2018において、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が、その見通しを明らかにした。

それによると、2018年の半導体材料市場は前年比10%増の約515億ドルとなる見通しで、過去最高を記録した2011年を破り、記録を更新する見通しだという。また、2019年も各社の半導体工場の生産能力の高まりを受け、同3%増の532億ドル程度となるとの予測だが、前工程向け材料は同5%増と成長するのに対し、後工程向け材料は同1%ほどと、低い成長にとどまる見込みだという。

メモリバブルが弾けた前工程

実は前工程向け材料市場は、2018年は同14%増の318億ドル規模の成長を遂げており、2017年も2桁成長を遂げるなど連続して2桁成長を達成してきた。しかし、2019年は同5%増と1桁の成長にとどまる見通しとしたのは、メモリバブルが弾けた影響が大きいためだとしている。

一方の後工程向け材料市場も、2017年には同5%増の191億ドル、2018年も同3%増の196億ドルと緩やかながら成長を遂げてきた。しかし、顧客からの値下げ要求が高まっていることもあり、2019年は同1%増の199億ドルにとどまる予測となったとしている。

  • 半導体材料市場

    半導体材料市場の売上高(単位:10億ドル)推移 (出所:SEMI)

前工程向け材料市場をカテゴリ別売に見ると、全材料の中で、シリコンウェハの売上高が120億ドル規模とダントツに高く、材料業界のけん引役となっている。そんなシリコンウェハ市場の動向として2019年に注目するべき点は以下の5つだという。

  • 平均販売価格が2018年に10%以上上昇。値上がりは2019年も継続するが、需要供給バランスはやや緩和される見込み
  • アジア地域でのウェハの消費が特に顕著に
  • 200mmウェハの平均販売価格の上昇率が300mmウェハよりも高くなる可能性
  • シリコンウェハメーカーの生産能力のほとんどが2020年まで予約済み
  • 大口顧客は2020年以降も長期にわたる購入契約を結ぼうとしている
  • 前工程向け材料のカテゴリ別市場予測

    前工程向け材料のカテゴリ別市場予測(単位:10億ドル)。シリコンウェハはウェハサプライヤの売り上げだけを計上(SOIは含むが再生ウェハは含まず)、フォトマスクは半導体メーカーによる内製分を含む、フォトレジスト関連は、フォトレジスト剥離薬液、現像液、反射防止コーティング剤、コントラスト強調剤、エッジビード剥離剤、接着促進剤などを含む。スパッタのターゲットは、Linx Consultingの調査データに基づくもので、貴金属を含む。そしてCMPスラリは用途をICのみに限定して推測した値 (出所:SEMI)

なお、シリコンウェハに次いで売上高の多い分野は、フォトマスクとガスだが、その規模はシリコンウェハに比べると1/3ほどで、さらに次世代デバイス用の新材料、フォトレジスト関連(後工程)用材料フォトレジスト剥離薬液、現像液、反射防止コーティング剤、コントラスト強調剤、エッジビード剥離剤、接着促進剤など)、CMP/スラリ、フォトレジスト、ウェットケミカルと続いている。

また、後工程向け材料市場をカテゴリ別に見ると、最大市場は有機パッケージで60億ドルを超す規模となっているが、それ以外のパッケージ材料を含め、トータルの成長率が年々低下してきており、SEMIでは、顧客からの値下げ圧力の厳しさが増してきているためと分析している。

  • 後工程向け材料のカテゴリ別市場予測

    後工程向け材料のカテゴリ別市場予測(単位:10億ドル)。有機パッケージはTechSearch Internationalの調査結果に基づく値(PBGA、PPGA、LGAおよびCSPラミネート含む)、ボンディングワイヤは金価格をそれぞれ$1,260/trz(2014年)、$1,188/trz(2015年)、$1,200/trz(2016年)、$1,300/trz(2017年および2018年)として計算。そしてダイアタッチ素材にはダイアタッチメントフィルム(テープ)材料が含まれていることに注意 (出所:SEMI)

1月28日追記:SEMIより、数値が修正された図表を提供いただきましたので、当該図表ならびに関連する文章の修正を行いました