羽生善治竜王に広瀬章人八段が挑戦する第31期竜王戦七番勝負第7局が12月20、21日の両日、山口県下関市「春帆楼」で行われ、広瀬八段が勝って自身初の竜王位を獲得しました。
広瀬は今シリーズを含めタイトル戦登場4回で獲得は竜王1期、王位1期の計2期。
羽生は勝てば通算獲得タイトル数が100期の大台に達するところでしたが、大記録はおあずけとなりました。また、1990年度第16期棋王戦五番勝負で棋王のタイトルを獲得して以来、必ず1つ以上タイトルを保持している状態を維持していましたが、27年ぶりに無冠に転落となりました。
羽生は、このシリーズが始まるまでタイトル戦登場数が135、うち獲得が99期で、勝率は実に[0.733]に上りました。これを打ち破ったのですから、広瀬新竜王の大変な充実ぶりがうかがえます。
事実、他棋戦でも活躍していて、今期は竜王戦のほか、来年2月から始まる棋王戦でも渡辺明棋王への挑戦権を獲得、また佐藤天彦名人への挑戦権を争う第77期A級順位戦も4勝1敗と好調で、これからも獲得タイトル数を増やしていく可能性があります。
最近の広瀬―羽生戦は重要な対局が多く、勝ったほうが王将戦挑戦者決定リーグ入りを決める一番や、広瀬が挑戦権を獲得した棋王戦でも本戦3回戦で当たっています。この2対局はいずれも広瀬勝ちで、羽生は大台100期の芽をことごとく潰されたかっこうです。
羽生は今後、いずれかのタイトル戦で挑戦権を獲得し、タイトル保持者との五番勝負or七番勝負に勝っての通算100期を目指すことになりますが、A級順位戦において現在5勝1敗、名人への挑戦権を狙える位置につけています。
100期が見えながら、なかなか実現しない状態が続いていますが、羽生は何といっても2008年度に永世竜王が懸かる第21期竜王戦七番勝負で渡辺明竜王(当時)に敗れはしたものの、2017年度第30期竜王戦七番勝負で9年越しの悲願を達成、永世竜王の称号、同時に永世七冠の栄誉を得た棋士です。きっといつか、ファンに「夢の100期」を見せてくれるに違いありません。