今年も余すところ1月半あまりとなったが、米IC Insightsは、はやばやと2018年における半導体メーカーの売上高ランキング・トップ15予測(ファウンドリを含む)を公開した。

トップ15社のうち米国に本社を置いている企業は7社、欧州が3社、そして日本は2社(東芝、ソニーセミコンダクタソリューションズ)、韓国2社、台湾1社となっている。また、各社を事業形態別に分類すると、IDMが11社、ファブレスが3社 ファウンドリが1社という構成となっており、半導体業界において売上高が高いメーカーには従来から引き続きIDMが多いことがわかる。

  • 2018年の半導体メーカーの売上高ランキング・トップ15

    2018年の半導体メーカーの売上高ランキング・トップ15(予測値)。表には、IDMのほか、ファウンドリ(企業名の後に(1)と表示)とファブレス((2)と表示)を含む。記載されている各社の売上高はICおよびO-S-D (オプトエレクトロニクス・センサ・ディスクリート)の合計額で、各社の2018年第1~3四半期における実績値に第4四半期の予測値を合計したものとなっている。なお、Broadcomは、本年4月に本社をシンガポールから米国に移管しているため、米国企業として扱われている (出所:各社財務情報、IC Insights)

トップ15社合計の市場成長率は前年比18%増と予測

半導体メーカーのトップ15社による2018年の市場規模は、前年比18%増の3811億6000万ドルとIC Insightsでは予測。中でもSamsung Electronics、SK Hynix、Micron Technologyの3大メモリサプライヤは、いずれも同25%以上の成長率となる見通しで、とりわけメモリ増産に注力したSK Hynixは、トップ15社中トップとなる同41%増の成長率となる見込みである。

また、トップ15社のうち9社は、前年比で2桁の成長を記録すると予測されている。その中で成長率が20%を超える見込みなのは、Samsung、SKHynix、Micron、Western Digitalのメモリ関連4社に加えてNVIDIAの5社となっている。また、15社中、Qualcommだけがマイナス成長となる見込みとなっている。

2018年のランキングトップ15社に入るための売上高としては、80億ドルを超す必要がある。2017年に80億ドル以上の売上高を達成したのは13社であったことを考えると、2018年に売上高80億ドルを超えた企業は2社増えたことになる。

ともに順位を上げた東芝とWestern Digital

2018年の順位と2017年の順位を比較してみると、順位をもっとも上げたのは、Western Digital/San Diskで、前年の15位から今年は12位へと3つ上がる見込み。同社は昨年、東芝メモリの売却を巡って東芝と訴訟を起こしていたが、2017年の暮れに問題が解決。その後はメモリバブルに支えられ、業績を順調に伸ばし、2018年は21%の成長を達成する見込みである。

また、その相手となる 昨年8位の東芝だが、今年はTexas Instrumentsを抜いて7位にランクインする見込みである。ちなみにランキングでは、東芝および東芝メモリの売上高となっておる。東芝メモリは2018年第2四半期に、180億ドルで米Bain Capital率いる米日韓コンソーシアムへの売却を完了。その後、東芝が東芝メモリの株式の40.2%を買い戻し、Bain Capital率いる国際コンソーシアムがBCPE Pangeaの社名で49.9%の株式を所有し、残りの9.9%を日本のHOYAが所有する形となっている。東芝メモリの新たなオーナーは3年以内のIPOを計画しており、Bain幹部は、東芝メモリの企業価値を高めるため、大型M&Aを推進したいと語っている。

こうした順位を上げた企業がいる一方、対照的に前年比1%の増収にとどまったNXPは、前年の11位から13位へと順位を2つ落とすことになる模様だ。

ちなみにトップのSamsungから7位のQualcommまでの上位7社には順位の変動はない。2位のIntelは、2017年第1四半期までトップサプライヤであったが、第2四半期にはSamsungがトップに躍り出た。そのトップのSamsungの半導体事業の売上高は、84%をメモリが占めるとされており、これは2017年の81%から3ポイントの上昇となるほか2016年の71%からすれば13ポイントの上昇ということとなる。非メモリ事業の売上高は、133億ドルで、前年比6%増に留まる一方で、メモリ事業の売上高は同31%増の700億ドルに達する見通しだという。

東芝とならんでトップ15社には、日本企業としてソニーセミコンダクタソリューションズが15位に入る見込みである。ただし売上高が同2%増しか伸びなかったため、Western Digital/SanDiskが上に行ったことから、順位を昨年から1つ下げることとなる模様だ。

ちなみに、ファウンドリであるTSMCを除くと、15位には台湾に本拠を置くMediaTekが入ってくる。同社の2018年の売上高は同1%増の79億ドルとなる見込みだという。

IC Insightsは、上位15社の半導体サプライヤのランキングにあえてファウンドリ)を含めているが、これは、マーケットシェアランキングを示すのが目的ではなく、半導体業界のベンダー(半導体製造装置メーカー、薬品・ガス・純水メーカー)の便宜を図って有力サプライヤリストを示すためである。ランキングにファウンドリを含めると、半導体売上高が ファウンドリと製造委託元の半導体企業でダブルカウントされてしまうため、売上高総計は水増しされて意味を持たなくなる点に注意が必要である。IC Insights が毎年4月に発表する製品カテゴリ別売上高ランキングではファウンドリを除外している。