この半導体ニュースのまとめ
・中国の最大手DRAMメーカーCXMTの親会社が7月27日に科創板に上場
・調達資金は約1.4兆円、最大で約1.6兆円を見込み、主に生産能力の増強に活用
・中国NAND大手YMTCも上場による資金調達を計画
中国の最大手DRAMメーカー長鑫存儲技術(CXMT)の親会社である長鑫科技集団が7月27日、上海証券取引所のハイテク新興企業向け市場(中国語で「科創板」)に上場した。
今回の新規株式公開(IPO)で少なくとも579億元(約1.4兆円)を調達し、2026年におけるアジア最大のIPOならびに科創板最大の上場となった。同社が追加オプションを行使してさらに15%の株式を売却した場合、調達総額は最大666億元((約1.6兆円)に達する可能性が高いという。初値は公開価格の5.7倍に当たる1株49.5元。終値は49.0元で、時価総額は3兆2800億元(日本円で約80兆円)となり、中国市場の上場企業の中で最大となった。
CXMTはIPOで調達した資金で、生産能力を現在の2倍以上に増強するとしており、3大DRAMメーカーに対する追い上げを目指す。
CXMTは、2016年に中国安徽省合肥市で誕生したDRAMメーカーで、合肥市の本社・工場のほか、上海にも新工場を建設中である。今回公表されたCXMTのIPO目論見書によると、同社は2026年上半期の純利益が500億元から570億元(約1.2兆~1.3兆円)に達すると予想しており、これは前年同期の23億元の純損失から大幅な改善となる。世界的なメモリ価格の急騰が背景にある模様である。TrendForceによると、CXMTは2026年第1四半期のDRAMサプライヤ売上高シェア7.6%で4位だという。
これまで中国内向けにモバイルDRAMやPC DRAMなどを軸としてきたが、中国半導体業界関係者によると、他のDRAMメーカー同様にサーバDRAMに注力する姿勢を見せており、すでにDDR5を量産しているほか、Huaweiの協力を得る形でHBMの製品化を急ピッチで進めていると言われている。
同社の顧客リストには、アリババ集団、テンセント、レノボ、シャオミなどの中国大手IT企業が名を連ねており、7月にはTikTokの親会社であるByteDanceと70億ドル以上の5年間の供給契約を締結したとも言われている。
米国でも、DellやHPがPC DRAMの調達を検討しているほか、AppleもDRAM調達に向けた動きを見せているが、Micron Technologyが反発しているといわれている。CXMTは、米商務省の「エンティティリスト(禁輸対象リスト)」や米国防総省のブラックリストに掲載されているものの、米国の民間企業への販売については今のところ規制されていない。CXMTは上場を機に中国外への拡販を図る模様であるが、米国連邦議会が販売規制を検討しているとも伝えられており、先行きは不透明である。
YMTCも上場準備
中国半導体サプライチェーン情報によると、中国最大のNANDメーカー長江存儲科技(YMTC)も上場の準備を進めているという。現在の同社のNANDシェアは一部の報道では13%と、市場シェア3位のキオクシアの14%に迫る勢いだという。もし上場して得た資金で生産能力の拡大を進めれば、キオクシアを抜いて世界3位になる可能性があると見る関係者もいる。
中国は技術の「自立自強」を掲げて半導体の国産化を進めてきており、CXMTやYMTCはその一翼を担っている。半導体メモリ市場は長年にわたって韓米日の企業が寡占してきたが、そこに中国勢が入ってくることで競争の激化が進むことが予想される。


