JR西日本は13日、おおさか東線南吹田駅付近の新設線路部分の報道公開を実施した。おおさか東線は2008年3月に開業した南区間の放出~久宝寺間に続き、現在は北区間の新大阪~放出間において、2019年春の開業(予定)に向けて準備が進められている。
おおさか東線の整備は建設主体の大阪外環状鉄道(第三種鉄道事業者)、運営主体のJR西日本(第二種鉄道事業者)により進められている。2019年春開業予定の新大阪~放出間のうち、神埼川橋梁以南の区間は既存の単線である城東貨物線の盛土区間を拡幅する工事、学研都市線(片町線)区間は線路の増設工事を実施。梅田貨物線から分岐し、神埼川橋梁にかけての区間は新線を建設し、府道14号と交差する位置に新駅、南吹田駅が設置される。
南吹田駅の当初の仮称は「西吹田」だったが、今年7月の北区間新駅の駅名発表にあたり、「所在地に忠実であり、吹田市最南端の駅となることから、場所をイメージしやすく、親しみを持っていただきやすい」との理由で「南吹田」が駅名となった。新大阪駅から2.0kmの距離に位置する相対式ホーム2面2線(8両編成対応)の高架駅で、各ホームにエレベーター1基・エスカレーター2基(上り・下り)を設置している。
同駅周辺はかつて、神崎川の水資源を生かした水田をはじめ、くわいの栽培地でもあったという。地域の歴史・風土のあるまちであることから、駅舎のデザインコンセプトを「神崎川と水路の風景」とした。改札前には「黄金色に輝く稲穂」を表現したデザイン柱が設置され、同駅のテーマカラーも稲穂の黄金色に設定。コンコースやホームの至る所に黄金色のデザインが施されている。改札内は天井の高い広々とした空間となっており、舞台の大階段をほうふつとさせる設計に。くわいをモチーフに、遊び心も取り入れたガラス部分のデザインもユニークだった。
この日は南吹田駅の駅構内に加え、梅田貨物線から分岐し、神埼川橋梁を渡って城東貨物線と合流するまでの新設線路部分も公開。線路上を歩くことができた。梅田貨物線から分岐する区間では、「この部分の施工がおおさか東線で最も難しかったところ。地上に8本の線路(梅田貨物線4本・JR京都線4本)があるため、3年がかりで少しずつ線路をずらし、おおさか東線が割り込むスペースを作りました」「いま立っている線路は1,000分の30という、当社路線の中でもかなりきつい勾配となっています」との説明もあった。
神埼川橋梁は長さ171mのトラス橋で、半径280mという比較的急なカーブを描きながら神崎川を渡る。橋梁の完成までに4年の歳月を要したという。すぐ東側に城東貨物線の単線の橋梁があり、おおさか東線・城東貨物線は神崎川を渡った後、東海道新幹線の高架線と交差する手前で合流。ここから先は単線だった城東貨物線を改良した区間となる。
おおさか東線の北区間では南吹田駅のほか、JR淡路駅、城北公園通駅、JR野江駅の計4駅が新たに開業予定。全線開業後の運行体系など概要も発表され、新大阪~久宝寺間で普通列車が1時間あたり4本(早朝・深夜を除く)、さらに平日・土休日の朝夕、新大阪~奈良間を結ぶ直通快速も運転されることになった。新大阪駅に直結することで東海道・山陽新幹線へ乗継ぎが可能となり、大阪都心から放射状に延びる各路線とも連絡して乗換えが便利に。大阪東部地域のまちづくりを促進する路線としても期待されている。