片づけが得意な人でも、部屋じゅうを毎日きれいにしておくのは大変なこと。「完璧を目指さない」って言うけれど、どのくらいやったらいいの? 手抜きにならない程良いさじ加減を知っている、整理収納プロのやり方をご紹介します。
1S:スパッと整理する
気になる所がいくつかあるとしても、いっぺんに手を付けると疲れ果ててしまうので、今すぐできる範囲に絞り込むのがおススメ。たとえば、今日はクローゼットに収納しているソックス、翌日は下着、数日休んでからテーブルにある書類といった具合に、一歩ずつ進めていきましょう。
たとえば、ソックスに取り掛かるときには、引き出しやボックスにしまってあるものをすべて取り出します。すると、かかとが薄くなったモノやゴムがゆるんでいるモノなど、しまってあるときには分からなかった変化に気づきます。また、厚手のモノ、丈の長いモノや短いモノ、色や柄のあるモノといった具合に、種類の違いが見えてきます。そういった状態や種類を点検すると、劣化したり出番がなかったりするモノは手放してもいいと思えるようになって、ソックスの数を減らすことができます。
しまうモノの数が減るだけで、引き出しの中にスペースの余裕ができて気持ちまでゆったり。整理してよかったと思えるようになります。
2S:スイスイと収納する
「収納イコールしまう」こととは限りません。戸棚や引き出しの中に収めると部屋の中は片づくのですが、日々繰り返し使うモノを出し入れするのが億劫になると、出しっぱなしになることも。そのため散らかった状態が気になって、片づけることへの義務感でココロに負担がかかります。「こうしたら片づく」といった正しいやり方であっても、習慣として続けて行えることと辛いこととがあるはず。そこに着目してみると、どんな方法がいいのかを考えるきっかけになります。
たとえば、よく使うモノを見えるようにしたり目に留まるようにしたりしたほうが、片づけやすいのかもしれません。その場合は、部屋の中に「定位置」をつくるのもいい手です。置く場所をきちんと決めておけば、部屋のあちこちに散らばることがなくなります。その定位置にふさわしい場所を見つけるときのポイントは、帰宅した時に最初にモノを置く所や過ごす時間が長い所。例えば玄関、廊下、ダイニングテーブル、カウンターなど、行動パターンに合わせて定位置をつくりましょう。バスケットやトレイを用意するだけで、定位置の目印になります。
3S:スッキリと整頓する
モノの数を減らしたり、身近にしまえる所が決めたりすると、キレイな状態をキープしたくなるものです。そんなときには、たくさんある収納用品の中から、気持ちよく使えるモノを選びましょう。その際にポイントとなるのが次の3点です。
①大きさを揃える
②色を揃える
③素材を揃える
戸棚や引き出しの中に入れて使う場合には、収納の寸法を測っておくことと、そこにしまいたいモノの大きさと数を調べることが重要です。しまう所とモノとのどちらにとっても困ることのない大きさを目安にして、市販の収納用品をリサーチ。収納用品を組み合わせたいときには、並べた状態を想定して、ちょうどいい個数を割り出します。収納用品を並べたときに隙間なくピタリと収まらないとしたら、数を減らしたりサイズを小さくしたりして調整しましょう。
見た目をキレイに整える場合には、同じ色や同じ素材で揃えます。特に、部屋の中で使う収納用品はその点が重要です。また、部屋のインテリアとの統一感という点では床や家具、カーテンに馴染む色と素材の収納用品を選びましょう。どれにしようかと迷うときには、プラスチックか紙か、布か植物素材かといった材質を決めたあとで、色味を無彩色と言われるホワイトやベージュ、グレイといった基準を目安にすると上手くいきます。
すはらひろこ
整理収納アドバイザー認定講師・一級建築士・インテリアコーディネーター。インテリアのプロならではの収納術が、オシャレでやる気がわくと好評。片付け講座を定期開催するほかテレビ・雑誌でも活躍。著書「シンプルに暮らす 無印良品で片づく部屋のつくり方」(エクスナレッジ)、「朝、着る服に迷わないハッピー収納術」(大和書房)、「1分からはじめるかたづけ術」(だいわ文庫)など著書・監修書多数。https://ouchisuteki.com/