クレジットカードで支払おうとしたとき、有効期限内のカードなのになぜかエラーになる、支払いができないといった経験はありませんか? いつもは使えていたカードが突然使えなくなると焦ってしまうもの。いったいどんな原因があるのでしょうか?
今回は、クレジットカードが使えない際の原因と対処法について解説します。
クレジットカードが使えないときに考えられる理由
クレジットカードで支払いができない原因には、利用のしかたによるもの、お買い物の状況によるもの、読み取り機によるものなどがあります。具体的には、おもに以下が挙げられます。
<1>支払日に引き落とせなかったとき
<2>利用限度額を超えたとき
<3>不正利用の疑いがあるとき
<4>機械の不調またはカードの磁気やICチップの不良のとき
<5>暗証番号を繰り返し間違ったとき
では、それぞれについて、どのような状況なのか、またどうすればカードを再び使えるようになるのか、対処法をみていきましょう。
1.支払日に引き落とせなかったとき
クレジットカードでお買い物をした代金は、まとめて毎月の「支払日」に登録した銀行口座から引き落とされます。この支払日に銀行口座の残高が足りないと、引き落とすことができません。すると、その時点でカードの利用が停止され、新たなお買い物で使えなくなります。
なお、代金の引き落としは1カ月分の合計金額のみで行われるのが一般的です。たとえば、カード会社からの請求金額が10万円で、銀行口座の残高が9万円だったときは「9万円が引き落とされて残り1万円を引き落とせなかった」とはならず、「口座残高が10万円に満たないので、1円も引き落とさない」という処理になることが多いようです。
再びカードを使えるようにするには、引き落とせなかった代金をカード会社に支払います。カード会社指定の銀行口座に振り込むのが一般的です。引き落とせなかったときには、数日後にカード会社から振込の案内または振込用紙が送られてくるので、そこに指定された通りに振り込みます。
ただし、カードが再び使えるようになるには、カード会社が入金を確認した後です。入金したら即時復活するわけではありません。
また、引き落とせなかった日の翌日から入金が確認されるまでには「遅延損害金」という利息がかかります。2018年5月現在、多くのカード会社では個人向けカードの遅延損害金の利率を年率14.6%としており、その日割りで計算されます。発生した遅延損害金は、翌月のカードの請求に上乗せされるのが一般的です。
遅延損害金をできるだけ少なくしたいとき、カードをできるだけ早く復活させたいときには、カード会社から振り込みの案内が届くのを待たずに、コールセンターに連絡して支払先の振込口座を確認するとよいでしょう。
2.利用限度額を超えたとき
カードの利用額が、カードを申し込んだ際に設定された利用枠に達すると、それ以上のお買い物はできません。
ここでいう「カードの利用額」とは、クレジットカードを使ってお買い物をした代金のうち、まだカード会社に支払いを終えていない金額のことです。たとえば利用枠が30万円の人が、これまでに20万円をカード払いして、その代金が未払いなら、残りの利用枠は10万円です。このときに新たに15万円のお買い物をしようとすると、カードを使えないのです。
支払日が来て20万円分の代金が銀行口座から引き落とされれば、使える利用枠は再び30万円に戻ります。支払日まで次のお買い物を待てるなら、確実に銀行口座に残高を入れておき、引き落とされるのを待ちましょう。
あらかじめ高額なお買い物をすることがわかっているときは、利用枠を上げておくのもよいでしょう。旅行や引越し、家電や家具の購入、医療費の支払いなど、一時的にカード払いが増えるときは、期間限定で利用枠を上げることができます。
引き上げられる上限や期間はカード会社やもともとの利用枠などにより異なりますが、期間は3カ月程度、引き上げ後の利用枠は100万円から300万円程度にできることが多いようです。引き上げの手続きはインターネットや電話でできます※。
※それまでのカードの利用状況によって、インターネットでは引き上げられないこともあります。また、引き上げ手続きをすると即時で利用枠が引き上げられる場合と、電話での確認を改めて経てからになる場合があります。
今後ずっと利用枠を多くしたいなら、継続的な利用枠の増額をしましょう。カード会社や種類、利用状況などによって、インターネットから申し込める場合と、電話や書面で申し込む場合があります。また増額後の利用枠に対して、安定的に支払える返済能力があるかどうかを審査されるため、増額されるまでに1~2週間程度かかります。また、審査結果によっては増額できないこともあります。
3不正利用の疑いがあるとき
カード会社は、クレジットカードにかかわる犯罪を防ぐために、不正使用検知システムを使ってすべてのカード決済をモニタリングしています。カード払いをするときに、場所、金額、購入物などのパターンが不正利用に関わる過去の例に似ていると判断されると、その場でカードの利用が保留されることがあります。
もしもこのシステムによって不正利用と判断されると、カードを利用しているのが名義人本人かどうか、その場で本人確認が行われることがあります。カード決済をしようとしたお店がカード会社に電話をし、電話口に本人が出て確認する場合と、カード会社から名義人に電話やSMS・メールで連絡がきて確認する場合があります。ここで不正利用ではないと確認が取れれば、カード会社がカードを再び利用できるように手配してくれます。
その場でお店がカード会社へ連絡をせず、カード会社からの連絡もない場合は、自分でカード会社に連絡をして、カードの保留を解除してもらうこともできます。カードの裏面に書いてある電話番号に連絡をして、カード番号とともに氏名、生年月日、登録の電話番号など本人を確認できる情報を伝えます。
4. 機械の不調またはカードの磁気やICチップの不良のとき
決済端末の不調で、カードをうまく読み取れないこともあります。ほかの端末で読み取り直してみるか、磁気ストライプ部分を拭いて汚れをきれいにして再度読み取ってみるかを試してみましょう。
端末側に問題がなければ、カードについている磁気ストライプやICチップに不良がある可能性もあります。何度か読み取り直したり、他のお店で試したりしてもうまく読み取れないときは、カードを作り直し(再製)てもらいましょう。カード会社に連絡をして、新しいカードを自宅に届けてもらいます。7~10日程度を要することが多いようです。
5. 暗証番号を繰り返し間違ったとき
決済時に入力する暗証番号を何度も間違うと、ブロックがかかりカードが使えなくなります。
ICチップ内蔵型のカードの場合、ブロックがかかるとカード自体を作り直さなければならないことが多いようです。カード会社や種類にもよりますが、後日、ブロックがかかった旨や作り直しの手続きについての通知が届きます。新しいカードを作り直すには、7~10日程度かかることが多いようです。
このように、クレジットカードはあらゆる原因で使えなくなることがあります。万が一使えなくなったら、まずはこれらにあてはまるかどうかをチェックしてみてはいかがでしょうか。
※写真と本文は関係ありません
加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。