東京都はこのほど、「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書」を発表した。同調査は2016年11月~2017年1月の期間に、都内のネットカフェや漫画喫茶など全502店及び利用者を対象に初めて実施されたもの。有効回答は222店、946人。
「ネットカフェ難民」は4,000人
同調査では、ネットカフェなどで朝まで過ごすオールナイト利用者数は平日で約1万5,300人と推計。このうち、常連と考えられる人は約5,100人と試算している。
オールナイトの利用者946人に理由を尋ねると、「現在旅行(出張)中で、宿がわりに利用」が37.1%と最も多く、次いで「現在『住居』がなく、寝泊まりするために利用(住居喪失者)」が25.8%と続いた。都はオールナイト利用者のうち、住居のない「ネットカフェ難民」は1日当たり約4,000人、全体の25.8%を占めると推計している。
さらに住居のない人363人を対象に年齢を調べたところ、「30~39歳」が38.6%で最多となり、次いで「50~59歳」が28.9%、「40~49歳」が17.4%と続いた。男女別の割合は、男性が97.5%を占めた。
ネットカフェなどの他に寝泊りするために利用する場所を聞くと、一番多かったのは「路上」で43.8%。以下、「ファーストフード店」が40.5%、「サウナ」が30.9%と続いた。住居を失った理由としては、「仕事を辞めて家賃等を払えなくなった」が32.9%、「仕事を辞めて住み込み先を出た」が21.0%と、仕事を辞めたこと原因に挙げる人が過半数を占めた。
労働形態を調べると、「正社員」は4.4%にとどまり、派遣労働やパート・アルバイトなどの「不安定就労者」は74.7%に上った。1カ月の収入は平均11.4万円で、収入がない人も10.7%いた。