トレンド総研はこのほど、「介護の事前学習」に関する調査結果を明らかにした。同調査は2017年12月25日~27日、介護職従事者以外で介護関連の資格を持っている20~60代の男女500名を対象にインターネットで実施したもの。
介護関連の資格を取得した年齢について尋ねたところ、「20代」(31%)が最も多く、次いで「40代」(20%)、「50代以上」(20%)となった。介護関連の資格を取得した理由は「将来のキャリアの選択肢を増やすことにつながりそう」(39%)、「身近な人の介護をする際に知識が役立ちそう」(37%)などが多かった。
実際に在宅介護をした経験があるか聞くと、20%が「在宅介護の補助をした経験がある」、16%が「自分が中心となって在宅介護をした経験がある」と答えた。また、27%が「今後、在宅介護にかかわる予定がある」と回答している。
資格取得のための学習で得た知識は、在宅介護をする上で役に立つと思うか尋ねると、86%が「そう思う」と回答した。介護に関する知識があることで、在宅介護は楽になると思うか聞くと、71%が「そう思う」と答えている。具体的に何割程度楽になると思うか尋ねたところ、その平均は「5割」だった。
実際に在宅介護を経験した人にどのような点が楽になったか聞くと、「体の使い方がわかっているので、肉体的な負担を軽減できる」(37歳・男性)、「認知症の相手にも、むやみに怒ったりせずに症状別の対応ができる」(29歳・女性)、「知識があることで、精神的な余裕もできる」(56歳・男性)といった声が寄せられた。
在宅介護を見据えた資格取得・学習にあたって重要なことを尋ねたところ、最も多い回答は「座学だけでなく、実習もあるスクール・講座を選ぶ」(57%)だった。「介護現場の知識が豊富な講師が多いスクール・講座を選ぶ」(41%)、「初心者でもついていける学習フォロー体制があるスクール・講座を選ぶ」(39%)も多くなっている。
「介護ラボしゅう」代表で、介護福祉士・ケアマネージャーの資格を有する中浜崇之さんによると、介護の知識を得ておくことは、肉体的・精神的な負担の軽減につながるという。
肉体的な面では、介護における体の使い方が挙げられる。誤った体の使い方を続けると、腰痛などの原因になることもあるとのこと。「人間の動作の原理などを含めて知識を得ておくと、実際に介護をする際、移乗介助や体位変換など、さまざまな面で肉体的な負担が大きく軽減できます」と中浜さんは話す。
また、あらかじめ介護の知識があると、今後の症状がどのように進行するかわかるため、先手を打つことができるという。「介護は年数が経つほど症状が進んでしまうことが多い。知識があれば、症状の変化に気づきやすくなり、いざ進行したときでも慌てることなく冷静に対処できる」と精神的な面でのメリットも述べた。