米IC Insightsは、2018年1月末に半導体市場調査レポートの2018年版を発行する予定だが、その中に収録される予定の2017年のファブレス半導体企業ランキングのトップ10リストを1月4日(米国時間)に公表した。

それによると、世界中のファブレス半導体企業の売上高総計は、前年比11%増の1006億ドルとなり、史上初めてファブレス企業の売上高総額が1000億ドルを超えたという。

  • 2017年のファブレス半導体企業トップ10

    2017年のファブレス半導体企業トップ10。Appleのように自社製品のためにシステムLSIを設計している企業(いわば外販しないファブレス企業)を含んでいる(自社製品に搭載するためにファウンドリに製造委託しているカスタムICの価値をIC Insightsが推測して算出)。Unigroupには、傘下のSpreadtrumとRDMの売り上げを含む (出所:IC Insights)

特筆すべきなのは、トップ10中に中国企業が2社入っている点だろう。7位のHiSiliconは、ほとんどの半導体チップを親会社のスマートフォン・サプライヤであるHuaweiに納入している。また10位のUnigroup(清華紫光集団)は、買収によって傘下に収めたSpreadtrumとRDAの売り上げを含むが、Unigroupは、中国政府の方針を受け、雨後のタケノコのように同国内に林立する弱小ファブレスをM&Aにより国際競争力のある大規模ファブレスにまとめようとしている。ちなみに、トップ10のうち、台湾MediaTekだけが、2017年前半の中国製スマートフォンの在庫調整の影響をもろにうけて、前年比2桁のマイナス成長となっている。

また、ファブレスとファウンドリの成長率は、例年、類似しているのだが、ファブレスとIDM(垂直統合デバイスメーカー)の成長率は、非常に異なっており、IDMの成長率がファブレスを上回ったのは、2000年以降、2010年のみであったが、2017年は、半導体メモリ市場が劇的な成長を遂げたため、久しぶりにファブレスの成長率をIDMの成長率が追い抜いた結果となっており、これは2010年にIDMがファブレスよりも成長したときの動きと似た状況となっているという。

  • ファブレスとIDMのIC販売額の前年比増減率の比較

    ファブレスとIDMのIC販売額の前年比増減率の比較(2000年~2016年実績、2017年推則)。青棒がファブレスの成長率、赤棒がIDMの成長率 (出所:IC Insights)