Snowflakeはイベント「Snowflake Data for Breakfast」を開催し、AI活用戦略を説明した。個人利用では「検索からAIに相談する時代へ移行している」と指摘したほか、社内では対話型AIへの問い合わせが週3万件を超えていることを明らかにした。
企業AIは実証段階から「運用フェーズ」へ
日本の社長執行役員の浮田竜路氏は、現在のAI潮流について「激しい局面を迎えている」と切り出した。
個人においては検索からAIに相談するというフェーズに移っている一方で、企業ではエージェントAIの部分導入やPoCが活発であり、これは「(社内で)どれだけ使っていけるか?」と検証段階にあるという。
企業における生成AIの主要課題として「(質問者が)見る権限のないデータを使えてしまう」というセキュリティとガバナンスの問題があるという。また、浮田氏の同僚との会話の中で「AIを全面展開した会社において『AI自体のパフォーマンス劣化』や『トークンの使い過ぎ』が問題になっている」という。
エージェントAIが濫立する環境においては管理だけでなくオブザーバビリティが必要になるので、AI駆動型オブザーバビリティの主要企業であるObserveを今年買収したと紹介した。
常日頃から言っている内容と前置きしつつ「データ戦略なくしてAI戦略なし。AIをしっかり使っていただくためにも、データをきちっと整備し、スノーフレイクに蓄積していただきたい(浮田氏)」と述べた。
Snowflake社内ではAI利用が週3万件超に
浮田氏は、同社のAI利用も紹介した。昨年12月に対話型エージェント「Snowflake Intelligence」に対し、同氏は毎日3~5件の問い合わせをしているだけでなく、会社全体で週3万件以上の問い合わせを行っている。その内容はセールスオペレーションの詳細確認や特定部門の売り上げデータ確認など、日常的な業務効率化に及んでいるという。
AI成功の鍵は「データ基盤」
続いて、米Snowflake プロダクト担当上席副社長のクリスチャン・クライナマン氏が、SnowflakeのAIビジョンと統合プラットフォーム「AIデータクラウド」についての説明をデモを交えて行った。
クリスチャン氏はAIが単なる技術的なトレンドではなく、社会やビジネスのあり方を根本から変える大きな可能性を秘めた技術であることを強調した。
AIを活用することで成功した世界的企業としてPhenetics、Astra Zeneca、Nissanを例にしつつ、多岐にわたる分野で実質的な成果を上げ始めているという。
しかし、AIは期待通りの結果を出しているわけではない。AIは企業コンテキストを知らないため、孤立したモデルでは組織課題の解決に直結せず、汎用AIはハルシネーションを起こし誤った結果を出すこともある。
AIが誤った結果を出す最大の原因は、データが統合・調和されておらず、信頼できるデータ基盤が存在しないことにあるという。つまり、AI戦略成功の成否は、基盤となるデータ戦略に完全に依存する。「AIを活用しないことよりも悪い唯一のことは、AIを活用して間違った結果や結論を得てしまうことだ。それはデータが調和されておらず、信頼できる基盤がないために起こる(クリスチャン氏)。
Snowflakeは創業時よりデータサイロ化解消をミッションとしており、AI時代でもデータがサイロ化されていない事が価値創出の前提であり続けるという。 同氏は、AI活用の構成要素として「広範なアクセスと適切な権限管理のある統合されたデータ基盤」、「ビジネスロジックとコンテキストの統一」、「AIをあらゆるワークフローへ組み込む能力」の3点が重要と指摘した。
そして、同氏はSnowflakeが目指す未来の姿としてSnowflake Intelligenceを紹介した。これは、20年前には一部の専門家しか扱えなかったデータ分析を、組織内の誰でも行えるようにする取り組みとなる。
これにより従業員は自然言語を通じてAIエージェントがデータを推論し、インサイトを提供し、さらには次のアクションを提案・実行するという、次世代のビジネス体験が得られるという。
Snowflake Intelligenceは他のエージェントプラットフォームや顧客独自のアプリケーションとも統合できる。すでに9000社以上が毎週Snowflake上でAIを活用している。
製品の核として使いやすく(Easy)、組織全体が同じデータ、定義を理解し組織内外で協業でき(Connect)、データの保全と可用性(Trusted)の三点があると説明した。
Cortex CodeでAIエージェント開発を効率化
さらに、クリスチャン氏が紹介した製品がCortex AIおよびCortex Codeだ。Cortex Codeのようなコーディングアシスタントを活用すれば、今まで手作業で行っていたタスクを短時間で完了できる。「(Cortex Codeにより)数週間かかるタスクが2~3時間で終わり、数時間かかるタスクが1~2分で終わるようになる(クリスチャン氏)という。
また、非エンジニアがエージェントの開発や管理が行えるため、自分に合ったエージェントを作成できるようになるという。また、最新のあらゆるAIモデルを自在に利用できるようにコミットしている。
Snowflake Intelligenceを使用している国内事例として、2社紹介された。JINSは営業情報を並列化し、迅速で情報に基づくデータ駆動意思決定を実現しているほか、KOKUYOは営業アシスタントをエンジニアリングやPythonのバックグラウンドのない人が構築し、営業状況の把握と経営層への示唆提供を実施していると紹介していた。
また、データガバナンスはAIで結果を得るための最優先事項として位置づけられており、オープンフォーマット、構造化/半構造化/非構造化/ストリーミングデータをサポートし、クラウドベンダー間でも動作すると説明した。
最後に、同氏はAIで結果を出すための企業内ロードマップとして「データ基盤の近代化」、「AI Readyなデータ整備」、「組織内の誰もがAIを使えるように開放」を示し、Snowflakeによって多くの成果を得てほしいというメッセージで締めくくった。





