AIで軌道上の撮影画像から船舶を検知することに成功
三菱重工業は5月11日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して開発したAI半導体である次世代宇宙用MPU「SOISOC4」を搭載した、「SOISOC活用オンボードAI物体検知機:AIRIS(アイリス)」を活用して、軌道上から物体検知により取得した洋上画像からAIを活用して船舶を検知することに成功したことを発表した。
AIRISは、SOISOC4を中心としたAIを搭載したデータ処理装置と、東京理科大学が開発した地球観測カメラで構成され、衛星画像から物体を検知する衛星搭載機器。JAXAが進める「革新的衛星技術実証プログラム」の実証機会において、「小型実証衛星4号機(RAISE-4)」に搭載される形で2025年12月14日に打ち上げられた後、軌道上で技術実証が進められてきた。
CPUコアにはルネサスのRXv3を採用。地上とのデュアルユースも検討
SOISOC4は、宇宙用マイクロプロセッサとして必要な耐放射線性能(Total Ionizing Dose、Single Event Error)を実現しつつ、低消費電力化が可能なSOIを活用した高い単位消費電力あたりの処理性能を実現することを目指して開発されたMPU。コアにはルネサス エレクトロニクスのRXv3を採用(デュアル構成)し、開発環境としてもルネサスのe2 studioを利用することで開発効率の向上が図られてている。
また、宇宙分野以外とのデュアルユースも想定し、SpaceWireおよびMIL-STD-1553Bといった衛星通信バスインタフェースのほか、イーサネット、CAN、SCI、SPU、I2C、GPIO、PWMなどの通信機能を採用。セキュリティとして、各種暗号アルゴリズムを活用しやデータの難読化やデータ(プログラム含む)の出自証明の実現や、アクセス管理として、価値の高いデータや秘密情報などの保護すべき情報への意図しないアクセス(不正アクセスを含む)を、ハードウェア的に禁止する機能などを実装している。
地上と軌道上の連携によるAIのアップデートを計画
AIRISの軌道上動作実証としては今後、今回の船舶の検知の後、取得した船舶画像を地上へ送信し、それを用いたAIの再学習を地上で実施、その結果を軌道上のAIRISに送ることで、AIRISのAIをアップデートする実験が行われる予定で、三菱重工ではこれらの取り組みを進めることでAIの性能を更新する一連のサイクルを確立していく計画としている。
また、軌道上におけるAIの動作実証のほか、SOISOC4の軌道上でのデモンストレーションも実施を予定しているともしている。


