子ども支援のNPO代表らは14日、学校内での不合理な校則やルール、いわゆる「ブラック校則」を見直すためのプロジェクト発足を文部科学省の記者会見場にて発表した。今後はプロジェクトに賛同を求める署名活動を行うほか、ブラック校則の実態調査を実施する。

  • 「ブラック校則をなくそう」プロジェクトの発起人ら

同プロジェクトは、髪の毛が生まれつき茶色いにも関わらず、教員から黒く染めるように強要され、精神的苦痛を受けて不登校になった女子高生による裁判がきっかけで発足したもの。

「#ブラック校則」「#こんな校則いらない」のハッシュタグで情報を集めたところ、SNS上では「パーマ禁止。『くせ毛届け』提出」「女子の下着は白のみ。スカートをめくられチェックされた」「黒タイツ禁止。生徒総会で改正が発議されたが『認める理由がない』」「プライベートでも膝上のスカート禁止」「通学は片道40分以上かかるのに、徒歩以外許されず、水分補給もダメ」といった声が見られたという。

  • 発起人の渡辺由美子氏(NPOキッズドア理事長)

発起人の渡辺由美子氏(NPOキッズドア理事長)は、「学校現場で、一部社会から見るとちょっとおかしいなと思うような校則や生徒心得、学校のルールが度々話題になっている。しかし、なかなかそれが改善していかないなという思いがあります」として、教育現場だけでなく、社会全体で議論をすることでブラック校則見直しの大きな動きを作りたいと訴えた。

また「古い校則に押し込められるのではなく、新しい時代の校則はどうあるべきか考える必要があるのではないか」とも指摘。「不合理な学校現場のルールや、それを根拠とした厳しい指導がなくなって、子どもたちが安心していきいきと学校で学べるようになったらいいと思います」とプロジェクトの目的について語った。

  • スーパーバイザーの荻上チキ氏(評論家・NPOストップ! いじめナビ 代表)

ブラック校則の実態調査については、まず20~50代(1,000名以上)を対象としたウェブ上のサンプリング調査を実施。生徒手帳などに明文化されている校則、校風や伝統、教師の裁量などによって定着しているルールに加え、それらを根拠とした不適切な指導についても調べる。

プロジェクトのスーパーバイザーを務める荻上チキ氏(評論家・NPOストップ! いじめナビ 代表)は「どの校則がどの年代でどの地域に広がっているのかに加え、貧困やLGBT当事者などの属性項目を設けることで、どんな人がどのような校則に不満感を持っているのかも調べたい」と調査のあり方について言及。NPOなどの協力により、子どもや教員からのヒアリング調査も同時進行で行ったうえで、2018年1月中に調査結果を発表する。

また、本調査についてはあくまでも"プレリサーチに過ぎない"としていて、今後は文部科学省などの公的な機関による調査を求めていくという。

同プロジェクトでは現在、キャンペーンに賛同を求める署名活動を実施しており、署名は「Change.org」のウェブサイト上で行うことが可能。集まった署名は2018年3月に、文部科学大臣宛に提出したいとしている。