ロームは、12月2日より開幕した電気自動車レース「FIAフォーミュラE選手権2017-2018(シーズン4)」に参戦するヴェンチュリー・フォーミュラEチームに、フルSiCパワーモジュールを提供したことを発表した。

ロームは、シーズン3よりヴェンチュリーとオフィシャル・テクノロジー・パートナーシップ契約を締結。マシン駆動の中核を担うインバータ部分にSiCパワーデバイスを提供していた。シーズン3は、ダイオード(SiC-SBD)のみの提供であったが、シーズン4からはトランジスタとダイオードを同梱したフルSiCパワーモジュールを提供することを決定。これにより、SiCを搭載する前のシーズン2のインバータと比較して、43%の小型化、6kgの軽量化を実現したという。

なお、今回搭載されたフルSiCパワーモジュールは、ローム独自のモジュール内部構造および放熱設計の最適化を実施した新開発のパッケージを採用することで、大電流化を実現したほか、一般的な同等電流定格のIGBTモジュールと比べてスイッチング損失を75%低減(チップ温度150℃時)したことで、省エネ化を実現したという。さらに、高周波駆動による周辺部品の小型化のほか、高周波駆動時はスイッチング損失の低減効果がより大きくなるため、冷却システムなどの小型化も可能になったと同社では説明している。

  • フォーミュラEのインバータの進化

    フォーミュラEのシーズン2、3、4のヴェンチュリーチームのインバータの変遷