「仮面ライダー」シリーズに登場する変身ベルトをハイエンド大人向けで再現したバンダイの人気ブランド「COMPLETE SELECTION MODIFICATION(CSM)」最新作として9月13日に受注を開始していた「CSMカイザギア」が、受注開始からわずか1日で完売した。「CSMカイザギア」は、同シリーズ最高額となる48,600円(税込)のアイテム。さらに、モチーフとなっているのは現行の『仮面ライダービルド』ではなく、2003年から2004年にわたって放送された平成仮面ライダーシリーズ第4作『仮面ライダー555』に登場する"2号ライダー"仮面ライダーカイザである。なぜ放送開始から十数年たったキャラクターの、しかも高額商品がこれだけ支持されるのか。そのヒットの理由をバンダイ ボーイズトイ事業部ライダーチームのフナセン氏に訊いた。

「CSMカイザギア」は現在二次受注を行っている

――9月13日に受注が開始された「CSMカイザギア」について、この日に仕様の詳細なども発表されましたが、実際のファンの反応・声はいかがでしたか? フナセンさんの想定していたものでしたか?

開始日をカイザと縁深い"913"という数字の日付に合わせたので、盛り上がっていただけるだろうと思っておりましたが、(仮面ライダーカイザのメイン変身者・草加雅人を演じた)村上(幸平)さんご出演の動画や、ご自身のイベント展開も相まって、想像以上でした。やっぱり皆さんカイザ&草加が大好きなんだなあと……。

――仮面ライダーカイザは、いわゆる"2号ライダー"です。「CSM」の選考基準は通常どのように決まるのでしょうか?

選考の前提として、「DX」から「CSM」にすべき大きな改修点がある物になっております。近年の「DX」変身ベルトは、番組との演出の差異がほとんど見られなくなっておりますので、平成1期の作品がやはり中心になってきてしまいますね。

――今回の「CSMカイザギア」の企画経緯についてお聞かせください。多くのリクエスト、ファンからの声が寄せられたと伺いしましたが、それは具体的にどのようなものでしたか? 『仮面ライダー555』15周年に合わせてというタイミングも想定されたかと思うのですが、なぜ今年発売(実際は受注ですが)となったのでしょうか?

昨年ファイズギアを発売し、そのときにカイザギアの商品化要望が非常に多く寄せられました。当然いつか発売するべきアイテムに選定されていたのですが、「CSM」はリリースペースが年間でも限られており、数年レベルの間隔を空けるのは良くないと思っておりまして、それから個人的に9月13日予約開始というのは絶対やりたい施策でしたので、今年やるしかない!と動きました。お届けがちょうど15周年のときになりますので、来年はこれを巻いて盛り上がっていただきたいと思っております。

――現行ライダーのベルトが、番組の盛り上がりとアイテム販売の連動で効果をあげている一方、同じベルトでも「CSM」は作品の盛り上がりとは関係なく、アイテム単体で勝負する企画です。そういった差がありながら、「CSM」はなぜこれだけ多くのファンの心を掴むのだと思われますか? 一方で、「CSM」だからこそのアイテム開発の難しさはどんなところでしょう?

ヒーローは毎年新しくなりますが、「好き」は上書きされずにいつまでも心に残ると思っています。昔大好きだったヒーローのリメイク商品、しかも最新の技術を使ってより楽しめるものが出来るのであれば、やはり欲しくなってしまうのがファンではないでしょうか。

2010年代は、マンガやアニメや映画などでも、過去のリメイクや続編などが多く作られていると思います。ヒーローに限らず、「あの頃の自分」を構成する一部になっている作品に、「今」新しい動きがあるとうれしいものですよね。

開発の難しさは、仕様とコストのバランスですね。「番組を再現する。」ということをコンセプトにしていますが、求めればいくらでも仕様が上がってしまいます。それはすごくお金と時間を掛ければ出来るのかもしれませんが、そうではなくて現実を見据えて、その中でより多くの人が喜べる仕様・お支払いいただける金額になるように開発しています。その中で出来ることを工夫するのは楽しいです。

――フナセンさんは「CSM」担当としては今回の「CSMカイザギア」は何商品目になるのでしょう? またフナセンさんが関わったアイテムの特徴として、「変身解除音」「音声収録数」「攻めたコスパ」といった点が見受けられます。今までのアイテムに対するファンの反応から見て、フナセンさんの感触としてファンにメッセージとして伝わりやすい(響きやすい)要素はどんなところだと思われましたか?

(担当は)4商品目です。ファンの皆様には、番組でできるシークエンスを出来るだけ多く再現できることが響くのだと思って、仕様の組み立てに取り組んでおります。カユいところに手が届く、細かくて気づきにくく……でも、気づいたらニヤッとしてしまう部分まで入れ込んでおくのがよいのかなと。

――「CSMカイザギア」はシリーズ初の4万円オーバーのアイテムです。「CSM」シリーズは玩具のカテゴリーでは高額商品にあたりますが、そういった購入のハードルが低くないアイテムを購入してもらう「ひと押し」「決め手」はどんなところなのだと思われますか?

これはやはり、"仕様がどれだけユーザーの皆様に突き刺さっているか"に尽きると思います。今回のカイザギアは決して安い商品ではありませんが、その値段を払ってでも遊んでみたい! 手に入れたい!と思っていただけるような仕様を。「これがあれば買ったのに……」というのは人によって違うと思いますが、それを言わせないレベルで、コストと技術とのバランス内で可能な限りのことを成立させるべく頑張っております。

――今回の「CSM カイザギア」では、ベルト以外にブレイガンという大型アイテムが付属します。「ブレイガン」が付くことによって、いままでの「CSM」の方針から変更したことはありますか?

今回は、「カイザギア」という変身アイテム一式の中に武器が含まれているため、ブレイガンにも挑戦しました。そういった意味では、ファイズギアに続いて2回目の武器系商品化ですが、大型であり剣型のアイテムは今回が初めてです。なりきりアイテムは、やはり変身アイテムが一番求められるため、リリースペースに限りがある本シリーズでは変身アイテムを優先しておりますが、今回の反響次第では、シリーズの組み立て方に影響が出る可能性もあると思います。

――かなり盛り盛りの内容の「CSM カイザギア」ですが、あえて「実はこれも入れたかった……」というものはありますか?

ここは「思い残す事は無い!」と断言しておきます! 現時点の技術でできることを突き詰めて、出来ることはすべてやるつもりで取り組んでおりますので、ご期待下さい!


(C)石森プロ・東映