JR東海は24日、東海道・山陽新幹線の次期新幹線車両に向けた確認試験車の製作について発表した。次期新幹線車両の名称は「N700S」。確認試験車は完成後、次期営業車両に反映する新技術の最終確認を行い、その後は東海道・山陽新幹線のブラッシュアップをめざし、技術開発を推進する試験専用車として活用される。
N700Sの「S」は「Supreme(最高の)」を意味し、東海道・山陽新幹線車両として定着したN700系シリーズの中でも最高の新幹線であることを表している。先頭形状はN700系・N700Aの「エアロ ダブル ウィング形」を踏襲しつつ、三次元形状を考慮したシミュレーション技術を活用して進化。「デュアル スプリーム ウィング形」と呼ばれる双対の翼を広げたような形状となり、トンネル突入時の騒音を低減する。
車内の快適性・利便性も向上。グリーン車全座席だけでなく、普通車も全座席にモバイル用コンセントを設置し、モバイル環境をさらに充実させる。小型・高性能「フルアクティブ制振制御装置」をグリーン車に搭載し、乗り心地の向上も図る。
これまでの技術開発成果にもとづく新技術も採用する。ATCとブレーキシステムを改良し、地震時のブレーキ距離をさらに短縮。小牧研究施設で実証された台車振動検知システムも機能が向上する。SiC素子駆動システムの採用など小型・軽量化を徹底し、安全性・安定性を高めつつ、さらなる省エネルギー化も進める。
徹底した小型・軽量化は、これまで実現できなかった床下機器配置の最適化にもつながる。これにより、16両編成の基本設計を変更することなく、12両・8両などさまざまな編成構成に対応できる「標準車両」が実現するという。より高品質な車両を低コストかつタイムリーに、国内外問わず提供可能となる。
その他、機器の状態監視機能の強化、セキュリティの向上(異常時に車内防犯カメラのリアルタイム画像を送信)などでさらなる安全・安定輸送の実現に努める。N700Sの確認試験車は2018年3月に完成予定。その後、2020年度をめどに、次期営業車両(量産車)を投入する方向で検討を進めるとのことだ。