アラブ首長国連邦(UAE)の構成国の一つで、イスラム圏でも比較的自由な気風で観光地としても人気が高いドバイにおいて、「Middle East Film&Comic Con」(以下、ドバイコミコン)が4月7日から9日までの3日間にわたり、ドバイワールドトレードセンターで開催され、7万人を超える来場者が訪れた。
ドバイの休日は、日本のように土・日ではなく、イスラム教の安息日となる金・土で、日曜日は平日扱いとなっている。そのため、開催日程は木曜から土曜となっていた。
2012年に初回が開催され、今年で5回目を迎える「ドバイコミコン」は、コミック、映画、ゲーム、グッズ、飲食など260を超える企業がブースを出展する中東エリア最大のポップカルチャーイベント。だが、同イベントはマーベル、DCや「スター・ウォーズ」などのアメリカ系のコンテンツが中心のため、日本のアニメコンテンツなどの参加は見られなかった。それでも、ゲーム系のコンテンツでは、VRを使った体験型のゲームやEAなどに代表されるスポーツ系や欧米系のFPSなどに混じって、マリオやインベーダーなど日本発のゲームに関する展示を行っているブースも見られた。
また、物販ブースでは日本から買い付けてきたグッズ類を販売するブースがあり、それらのブースの担当者に話を聞いてみたところ、日本のアニメは数十年前から中東でも流れており、親子二代で日本のアニメファンもいるとのこと。また、最近の若者たちはクランチロールなどのインターネット配信を通じて日本のアニメを視聴しているので、流行している作品は日本とほとんど変わらないという。
参加している若年層の中には、日本のアニメ作品のコスプレをしている参加者の姿があったほか、模造刀や番傘など日本的なグッズを販売するブースもにぎわいを見せていた。また、日本ではイスラム教というと偶像崇拝NGのイメージがあるが、会場ではフィギュアを販売するブースも多数出展されており、宗教と離れたものであればフィギュアなども受け入れられている様子だった。中には日本のメーカーが発売しているフィギュアも多数、展示・販売が行われていた。
「ドバイコミコン」では企業によるブース出展以外に、ファンサブ(同人)コーナーも用意されており、二次創作のイラストやグッズを配布するなどファン同士による交流も。それらのファンサブコーナーでは日本作品の人気が高く、企業ブースの9割が欧米系コンテンツであるのに対して、ファンサブコーナーは5割くらいのサークルが日本の作品を題材にしており、『おそ松さん』や『ワンパンマン』といった作品が人気を集めており、日本のコンテンツがしっかりと中東にも根付いていることが確認できた。
欧米系コンテンツに加えて、日本のコンテンツにも人気が集まっていた「ドバイコミコン」。東南アジアに続く、日本ポップカルチャーの輸出先になる可能性を感じた。そんな中、今回の「ドバイコミコン」で、10月27日から29日までの3日間、ドバイと同じUAEを構成する首長国の一つアブダビにて、日本のポップカルチャーにスポットをあてた「Ani:me」というイベントが開催されることが発表された。同イベントでは、日本のアニメや漫画、ゲームに加えて、音楽やアイドルなどの文化も取り上げる予定となっている。また、毎年8月に名古屋で開催されている世界コスプレサミットのUAE代表決定戦も開催が予定されているとのことだ。