JR北海道は10日、北海道新幹線新函館北斗駅の報道公開を実施した。2016年3月26日の開業予定日まで100日あまりとなり、着々と準備が進む同駅の現在の様子を紹介する。

北海道新幹線新函館北斗駅。駅舎に「北斗市観光交流センター」の文字が

まず、駅舎外観に小さな変化が生じた。今年7月に実施した見学会の際にはなかった「北斗市観光交流センター」の文字が、駅舎前面に取り付けられている。駅舎の右側部分は北斗市が管理・運営する観光交流センターとなり、1階には地元産品のアンテナショップ、2階には観光案内所が入るという。

駅舎内部に入ると、改札口や出入口などを示す案内表示の取付けがほぼ終わっていることに気づく。新幹線改札口では、すでに改札機の設置が終わり、カバーの下でじっと開業日を待っている。新幹線改札口横のみどりの窓口も内装工事がほぼ終わり、L型のカウンターが姿を現した。3名の窓口係と3台の券売機が配置されるほか、中国語・英語ができる係員を配置したカウンターも設けるという。

改札内には、物販店舗、中待合室、簡易ベッドと給湯設備を備えた授乳室を用意。駅舎内のガラスに貼ってある衝突防止用のシールがトンボのシルエットになっていた。詩人の三木露風が1920(大正9)年から4年間、当地のトラピスト修道院に滞在し、その期間中に故郷を思いながら童謡「赤とんぼ」を作ったエピソードにちなむものだそう。駅舎内で7枚だけ、「トンボシール」の代わりに北斗市のキャラクター「ずーしーほっきー」のシールが貼られている箇所もあるとのことで、完成の折にはゆっくりと探してみたい。

新函館北斗駅の新幹線改札口

トンボにちなんだデザインの衝突防止用シール

新幹線ホーム。在来線への乗換案内に「はこだてライナー」の文字も

新幹線ホームは対面式2面2線で、呼称は11番線・12番線となる。延長263mのうち、ホーム端の30mには吹き込んできた雪を解かすためのロードヒーティングを整備したという。可動柵の扉は、北斗市特産の果物「マルメロ」をイメージした黄色に。木古内駅は海の青、奥津軽いまべつ駅は郷土芸能「今別荒馬」の赤をそれぞれ採用したとのこと。

11番線は在来線ホーム(1番線・2番線)と同一平面上でつながっており、新幹線を降りた後、階段を上り下りせずに函館駅へのアクセス列車「はこだてライナー」や札幌方面への特急列車に乗り継げるようになる。「はこだてライナー」は、函館~新函館北斗間(17.9km)を快速17分・各停20分程度で走るという。現在の渡島大野駅は1日100名程度しか利用しない無人駅だが、新函館北斗駅となる3月26日以降、特急列車の停車駅ともなるため、在来線の乗降客も大幅に増える見込みだ。

この日の見学会では、普段は閉じられているという新幹線ホーム・在来線ホームをつなぐ出入口が特別に開放された。扉が開け放たれると、まさにすぐ目の前が在来線ホーム。乗換え利便性の高さを実感した。

現在は渡島大野駅として営業中の在来線ホーム

取材に応じる新函館北斗駅の鳴海正駅長

現在、駅舎内に「新函館北斗開業準備駅」が置かれ、鳴海正駅長を筆頭にスタッフ43名で準備が進められている。

地元出身で、青函連絡船時代から旧国鉄に勤務していたという鳴海駅長は、「本州と北海道を結ぶ新幹線が来るのはやはり感慨深いです」と語る。報道陣に現在の心境を尋ねられると、「正直に言うと少し焦っています。取材も多く、注目されているのをひしひしと感じます。万全な体制で開業を迎えるのが我々の使命です」と答えていた。

新函館北斗駅の駅舎・新幹線ホーム・在来線ホームなど