子どもがいる家庭では何かと出費があり、気をつけないと家計が困窮しがち。食費や光熱費などをコツコツと節約しているお父さんお母さんも多いでしょう。節約は、家計の固定費を抑えるのが効果的。その中でも大きな部分を占める住居費を抑えることができれば助かりますね。子育てファミリーに対する公的な居住支援制度を利用すれば、固定費節約ができるかもしれません。
まずは住んでいる自治体の情報チェックを
子育てファミリーが安心して暮らすために、住環境の問題と金銭的な問題は切っても切り離せません。子どものために住環境を改善しようとすれば家賃は上がり、家賃を下げようとすれば何かを犠牲にしなければならなくなるかもしれません。
内閣府は「少子化社会対策白書(平成26年度版)」の中で、子どもが住まいやまちの中で安全・安心にくらせるように、子育てに適した住宅・居住環境の確保を図ることを挙げています。具体的には、「融資、税制を通じた住宅の取得等の支援」「良質なファミリー向け賃貸住宅の供給促進」「公的賃貸住宅ストックの有効活用等による居住の完全の確保」「公的賃貸住宅と子育て支援施策との一体的整備等の促進」、そして「街なか居住等の推進」の5点。これを受けて、様々な自治体では家賃補助や住宅購入独自の居住支援制度を実施しています。
例えば、世田谷区では18歳未満の子どもがいる中堅所得層のファミリーに対し、賃貸住宅「せたがやの家(ファミリー型)」に新規入居することで月額4万円を助成する制度を実施しています(最長5年)。3LDKタイプなら家賃10万円台前半の物件が多く、また礼金・手数料、更新料は不要です。期限制限があるとはいえ、最大限に利用できれば240万円の住居費が浮くことになります。ただし世田谷区民であり、所得が一定基準以下であることなどが条件。詳しくは世田谷区および「一般財団法人世田谷トラストまちづくり」のサイトを確認してください。
区内への転入助成や転居助成など、引っ越しに伴う助成を行っているのは新宿区。転入助成では、義務教育修了前の子を扶養する世帯が区外から区内の民間賃貸住宅に住み替える場合に、転居一時金および引っ越し費用を助成してくれます。助成してくれる金額は、契約時の礼金・仲介手数料の合計で最大36万円および、引っ越し代の実費で最大20万円(引っ越し荷物の搬送代で、引っ越し業者に依頼した場合に限る)の最大56万円。
すでに新宿区内の民間賃貸住宅に住んでいる義務教育修了前の子を扶養する世帯が、子どもの出生や成長に伴い、区内の民間賃貸住宅に住み替える場合(面積条件あり)に家賃の差額および引っ越し費用を助成してくれるのが転居助成(最長2年間)です。転入助成も転居助成も募集数には限りがあるので、区の住宅課居住支援係まで早めに問い合わせをするようにしましょう。
子育てファミリー向けの居住支援制度はここに挙げた自治体に限られたものではなく、自分の居住地の制度をチェックしてみると自分の家庭も条件に当てはまるかもしれません。より良い住環境にありながら、家賃補助を受けられたり、低家賃の住宅に住めたりできれば、家計にも安心の暮らしが実現できるのではないでしょうか。
※画像は本文と関係ありません。
著者プロフィール
武田明日香
エフピーウーマン所属ファイナンシャル・プランナー
南山大学経済学部卒業後、大手印刷会社に入社。2010年に、法人営業の仕事をしながら自己啓発のためにファイナンシャルプランナーの資格を取得。「女性がライフステージで選択を迫られたときに、諦めではなく自ら選択できるための支援がしたい」という想いから、2013年にファイナンシャルプランナーに転身。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく!トラベル!」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。
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