日本労働組合総連合会(以下、連合)は29日、中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(委員長:仁田道夫国士舘大学経営学部教授)が、2015年度の地域別最低賃金の目安を現行制度で過去最大となる全国加重平均18円(2.31%)の引き上げをとりまとめたことについて、神津里季生事務局長の談話を発表した。
「上げ幅の議論に終始したことは残念」
審議会では、ランク区分ごとの目安額を、Aランク19円、Bランク18円、Cランク16円、Dランク16円とした。神津事務局長は「ランク間格差の拡大に歯止めがかかったことは評価できるものの、本年度も上げ幅の議論に終始し、最低賃金水準のあり方についての議論に至らなかったことは残念である」とコメントしている。
審議会において使用者側は、中小企業・小規模事業者の経営状況の厳しさを強調するとともに、過去5年の最低賃金引き上げは中小企業の支払い能力を超えた大幅な引き上げであり、その結果、企業経営に与えるインパクトが年々強まっていることなどを主張したという。
一方、労働者側は、物価上昇分を確保し、実質賃金を維持したうえで、春闘での賃上げ実績を加味すべきと述べたほか、全ての道府県で800円に到達する道筋をつけることなどを求めた。
連合は今後、中央最低賃金審議会での目安金額決定の議論経過を踏まえた地方最低賃金審議会での審議を求めていくとしている。