上野動物園(東京都台東区)ではこのほど、日本産ライチョウの孵化に成功した。

日本産ライチョウの孵化に成功 ※画像提供:公益財団法人東京動物園協会

絶滅の危機に瀕する日本のライチョウ5羽の孵化に成功

ライチョウは20種以上の亜種が世界に分布しているが、中でも日本のライチョウは最南端に位置する亜種となる。かつて最終氷期に分布を広げ、温暖化が進むとともに、日本では高山帯に取り残された。

しかし、日本のライチョウは絶滅が心配されている。同園ではこれまで、ライチョウの繁殖を目的としてノルウェーのスバールバルライチョウの繁殖に挑戦し、2008年に飼育下での繁殖に成功している。

孵化したヒナたち(番号は孵化の順番ではなく個体固有の番号) ※画像提供:公益財団法人東京動物園協会

今回孵化した卵は、今年6月5日に、長野県と岐阜県の県境にある乗鞍岳で「抱卵前」の卵を採取し、同園に運んだもの。6月27日から28日にかけて、全5卵の孵化に成功した。

国内では「孵化直前」の卵を巣から採取して人工孵化させた例はあるが、それよりも早いタイミング、つまり「抱卵前」に採取した卵から人工孵化に成功したのは、今回が初めてとなる。孵化した5羽の性別は不明。体重は16.7~18.7グラム。孵化日時は6月27日 18時台から、翌28日 4時台だった。

孵化後約2週はとくに体調をくずしやすいため、今後の取組みとしては、これまでのスバールバルライチョウの孵化や育雛の経験を活かし、注意深く飼育、観察する、としている。